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今までにない電子契約サービス「PICKFORM」とは
株式会社PICKは、大分県で2018年に設立され、現在は東京に拠点をおく会社です。不動産取引に特化した電⼦契約サービスである「PICKFORM」の提供と、不動産仲介を主な事業としています。「不動産業界のムダをなくして人々の生活を豊かに」をパーパス(会社の存在理由)に掲げる同社は、業界の抱える課題を新たな切り口で解決するサービスを開発しました。「PICKFORM」が他社のサービスと違うポイントや、企業として今後目指す姿について、執行役員CMOの阿部さんにお話を伺いました。
株式会社PICKについて
―まずは御社の事業内容をお聞かせください。
当社は「不動産取引を快適に、オープンに」をミッションに掲げて、不動産取引に特化した電⼦契約サービス「PICKFORM」の開発・運営と、紹介制の不動産仲介業(賃貸/売買)を展開する会社です。
―阿部さんの経歴についてお伺いしたいです!
2011年にハウスメーカーの株式会社⼀条⼯務店に⼊社し、⼾建住宅の現場監督を経験しました。その後、2013年にマーケティングリサーチ⼤⼿の株式会社マクロミルに入社しました。ユーザーインタビュー等を行うオフラインリサーチの運⽤部⾨を経験後、セールスリーダーとして⼤⼿アルコール飲料メーカーやメガバンク等のデータを活⽤したマーケティング戦略や新商品開発の意思決定のサポートに携わっていました。
そして、2021年にCXプラットフォーム「KARTE」を提供する株式会社プレイドに⼊社し、
enterpriseのクライアントを中⼼にセールス、カスタマーサクセスを担当しました。2022年に副業で⼿伝っていた株式会社PICKに正式に入社しました。
不動産電⼦契約サービス「PICKFORM」の特徴
―御社が提供する「PICKFORM」とは、どんなサービスですか?
元々不動産業をしていた⼈間が作った不動産取引特化型の電⼦契約サービスです。不動産の取引のフローや法律はただでさえ複雑ですが、電⼦契約が絡むことで黎明期ということもあり、さらに複雑な内容になっています。そんな中、我々のPICKFORMは、国内で初めて国⼟交通⼤⾂認定をいただき、宅建業法に遵守した安⼼安全な設計になっています。また、「賃貸借契約」「売買契約」「工事請負契約」でもPICKFORMにて契約締結が可能となります。
―電子契約サービスには競合が多い印象があります。なぜ、電子契約サービスをこのタイミングでリリースしようと思ったのでしょうか。
いくつか理由はありますが、1つは、我々⾃⾝が元々不動産業界出⾝のメンバーも多く在籍していることから、不動産業界の新陳代謝をあげる必要があると感じていた点です。紙やFAXが当たり前のインフラになっていることに強い違和感を感じており、特に取引においては契約書などの紙も多く、各々がフラストレーションを抱えていた「原体験」が⼤きいです。例えば、製本の準備には押印箇所に付箋紙を貼ったり、印刷後に誤字脱字などの間違いが⾒つかったら再度印刷・製本しなおしたりなど、製本準備には平均90分もかかるとも⾔われております。この作業⾃体には本 質的な価値はないと思っていました。ここを無くすことができたらどれだけ楽か。そういった想いがきっかけになっています。
2つ⽬は、宅建業法の法改正が2022年5⽉にあったことも新しいビジネスを始める後押しになりました。
3つ⽬は、不動産業界の市場を⼤きくするための⼀番重要なKPIが「取引数」だと考えているからです。我々のmissionが「不動産取引を快適に、オープンに」とあるように、取引を”快適”にすることで、より不動産市場の規模を⼤きくするための重要なピースだと思っています。
現に、⽇本の不動産は世界的に見ても、東京という都市の不動産が世界の先進諸国のメジャーな主要都市と比較すると割安に見られることが多いため、徐々に外資が⼊ってきています。そういった意味では遠隔にも対応できる電⼦契約がより注⽬されると考えています。
タイミングについては狙っていたわけではなく、代表の普家と共同創業者の淵澤と話をする中で、「自身がフラストレーションを感じていることを解決できるプロダクトを自分たちで作って業界を良くしよう」となったタイミングが同じタイミングだったということが⼤きいです。その中で、法改正があるというNEWSも⼊り、本格参⼊することが決意できました。
―他社との差別化ポイントはありますか?
差別化ポイントは主に以下の3点です。
- “自社独自開発”電子押印機能
- 国交省大臣認定 国内唯一のサービス
- 同時署名形式(特許出願中)
中でも国土交通大臣の認定を受けている点は、他社にはない大きな特徴です。宅建業法上は、35条書面(重要事項説明書)の説明を行った後に、37条書面(契約書)を締結/交付をすることが求められています。一般的な電子契約サービスでは、この時系列の問題を宅建業者様の運用に一任しているケースが多く、使い方によっては順序を逆にして取引が可能になってしまい、宅建業者様が行政処分の対象になる可能性があります。
不動産取引の電子契約では、このあたりの細かいフローに沿った内容が重要になるのですが、その点についても国土交通省と密に情報共有をし、宅建業法を遵守した安心安全な設計をしています。そのうえで「賃貸借契約」「売買契約」「工事請負契約」のすべてに対応しているのもPICKFORMならではです。
―賃貸借契約に特化した電子契約サービスを提供する会社は他にもありますが、売買契約や請負工事契約に対応しているサービスはかなり珍しいのでしょうか?
はい。賃貸においては他社で特化したサービスが数多くあります。また、最近は不動産売買の契約についてもいくつかの企業が参入し始めていますね。しかし、不動産の電子契約サービスで「工事請負契約」にも対応している会社は現時点では当社しかありません。不動産取引のフローや、それに絡む法律はただでさえ複雑です。法改正などの変化に柔軟に対応しながら、今後も売買や工事請負の契約面をしっかり支えていきたいと思っています。
―同時署名に対応しているのはとても便利ですね!
ありがとうございます。この機能は現在特許を出願中なのですが、同時署名のメリットは、不動産の取引のように複数の人の署名が必要になる場合でも、誰かのサインを待たなくてよい点です。サインする順番の考慮が不要になり、好きな人から好きなタイミングでサインが可能になることで、短い時間で全員の署名を終えられ、結果的に書類作成と契約締結全体の時間短縮にもつながります。
ペーパーレスで契約業務をスムーズに
―「PICKFORM」を導⼊されている企業はどういったところが多いですか?
現在の導⼊企業は中⼩企業様が多いですね。10名以下の会社もあれば、100名程度の中規模の会社もあります。徐々に⼤⼿からの引き合いも増えてきており、今後はさらに幅広い企業様へ導入いただくことを目指しています。
―御社の取引先の多くは「契約を電子化したい」というニーズをお持ちだと思いますが、実際に導入するときにネックとなるのはどんな部分ですか?
やはり従来の紙で契約する方式に慣れていればいるほど、電⼦契約を実際に利⽤するまでにハードルが⾼いと感じてしまうようです。当社では、お客様がそういった不安を払拭できるように担当制のカスタマーサクセスがついて、丁寧にサポートをしています。このサービスは利用料⾦に含まれているため、追加費用がかかることもありません。
時にはお客様から「来週の取引に同席してほしい」というご依頼もあります。こういったご要望にもできる限りお応えし、実際に同席して使い方をお伝えしたこともありました。最初の部分でつまずかないよう、手厚くサポートすることは常に重視している部分です。
―そのほかに「PICKFORM」ならではのサービス・機能があれば教えてください。
PICKFORMには契約書以外のファイルもアップロードできる機能があります。委任状や図面等の書類も全て一か所に格納できるので、関連するファイルをまとめておけば印刷物なしでやりとりを完了できます。ペーパーレスが一気に進められるのが一つの特徴ですね。
不動産取引をより身近で便利なものにしたい
―最後に、今後の展望についてお聞かせください。
当社のミッションは、「不動産取引を快適に、オープンに」することです。
この「快適」の部分で不動産取引特化型電子契約サービスの「PICKFORM」を提供しています。これからも多くの不動産業者の皆様に「PICKFORM」を利⽤していただけるように、追加機能の開発や販売を推進したいと考えています。
また、「オープンに」の部分では、toB・toCどちらにおいても情報開示をしっかり行い、不動産の取引をより適切に、より身近にしたいという考えがあります。結果として不動産業界の仕事が便利になり、ますます不動産市場の取引数が増えることに貢献できれば嬉しいですね。
―本日は貴重なお話をありがとうございました!今後も「PICKFORM」の展開に注目したいと思います!