「なぜ不動産会社はポータルから逃げられないのか」【南総合研究所】

  1. 不動産事業者向けコラム

 不動産業界の集客構造を冷静に見渡すと、相変わらずポータルサイトの影響力は圧倒的だ。毎年繁忙期になると、テレビをつければ不動産ポータルのCMが流れ、スマートフォンを開けばWeb広告が表示され、駅構内や電車内でも同じブランドロゴを何度も目にする。このような大規模なマーケティング投資を継続的に行えるのは、エイブルのような超大手を中心とした一部の企業に限られている。だが、こうした広告攻勢は単なるブランドアピールではなく、ユーザーの検索行動そのものをポータルサイトに固定化させる役割を果たしている。住まい探しをする際に、まずポータルを開くという行動が当たり前になった今、この流れはもはや個社の努力では覆しにくい構造となっている。

 改めて言うまでもなく、日本の不動産マーケット、とりわけエンドユーザー向けの集客は、ポータルサイトが本流の本流だ。店舗前の看板やチラシ、紹介営業といった従来型の手法も一定の役割は残しているが、主戦場は完全にオンラインへ移行している。ポータル内での競争は激化しているものの、それでも入口はほぼ一本化されていると言ってよい状況だ。この構造は不動産業界に限った話ではない。飲食店であれば食べログやGoogleマップ、車の売買であればカーセンサーやグーネットといったように、リアル店舗ビジネスの多くが巨大プラットフォームの上に集客基盤を置いている。ユーザーにとっては比較検討が容易になり利便性が高まる一方で、事業者側はプラットフォームへの依存度を高めざるを得ない構図が固定化している。

 このような環境下でポータルサイトの中で勝ち切るためには、非常にシンプルだが厳しい現実がある。それは広告掲載コストをどれだけ投下できるかという問題だ。露出量を増やし、検索結果の上位に表示され、目に留まる位置に物件を配置するためには、一定以上の広告費が不可欠になる。さらに近年では、掲載枠の量だけでなく質も問われるようになってきた。写真のクオリティ、コメントの書き方、情報の更新頻度といった細かな要素が反響率に直結する。加えて、口コミやレビューの評価も無視できない要素になりつつある。ユーザーは物件だけでなく、仲介会社そのものを評価対象として見ている。結果として、掲載コスト、掲載の質、レビュー評価、そして実際の接客やアフター対応といったサービス品質が掛け合わさり、最終的な売上を左右する構造が出来上がっている。

 しかし、ここで重要なのは、すべての不動産会社が同じ土俵で資本力勝負をする必要はないという点だ。特に中小の不動産会社にとって、広告費をひたすら積み上げて大手と正面から競う戦略は現実的ではない。そこで鍵になるのが、独自の商品ラインナップの構築だ。不動産業における商品とは、単なる物件情報ではなく、専任媒介物件や自社保有物件、オーナーから直接預かっている独占的な在庫を指す。こうした物件をどれだけ確保できるかによって、集客戦略の自由度は大きく変わる。

 専任物件や自社物件を多く持つ会社は、ポータルへの依存度を相対的に下げることができる。なぜなら、他社と完全に横並びで比較される物件ではなく、自社に問い合わせなければ情報が得られない商品を持つことができるからだ。結果として、広告費を過度にかけなくても一定の反響を獲得できるようになり、価格競争や条件競争からも一歩距離を置くことが可能になる。さらに、オーナーとの直接的な関係性を強化することで、継続的な物件供給のパイプラインを構築できる点も大きなメリットだ。

 今後、AIの進化や新しいマッチングサービスの登場によって、業界の風景が部分的に変化する可能性はある。問い合わせ対応の自動化や物件レコメンドの高度化など、業務効率は確実に向上していくだろう。しかし、集客の入口が巨大プラットフォームに集約されるという構造自体が、短期間で劇的に変わるとは考えにくい。むしろ、プラットフォームの寡占化はさらに進み、広告単価や競争環境は一層厳しくなる可能性が高い。

 だからこそ、不動産会社が中長期的に生き残るためには、単なる集客テクニックの改善ではなく、事業構造そのものを見直す必要がある。具体的には、自社でコントロールできる物件在庫をどれだけ増やせるか、オーナーとの関係構築をどこまで戦略的に行えるかが重要なテーマになる。ポータルに依存しながらも、同時に依存度を下げる努力を重ねるという、一見矛盾した戦略が求められているのが現実だ。

 不動産ビジネスは、情報産業であると同時に在庫ビジネスでもある。情報だけを持っていても差別化は難しく、実体としての物件を押さえてこそ、価格決定力や集客の主導権を握ることができる。ポータルサイト全盛の時代だからこそ、改めて原点に立ち返り、自社がどのような商品を持ち、どのような価値を提供できるのかを問い直す必要がある。広告費の多寡に一喜一憂するのではなく、持続的に戦えるビジネスモデルを構築できるかどうかが、これからの不動産会社の明暗を分ける分岐点になるのだ。


記事提供:南総合研究所


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