先日、とある不動産会社の方と会食をした。その会社は、他社よりも群を抜いてポータルサイトからの反響を獲得しており、かなり業界内でも勢いのある会社だ。その会社の役職者のかたと話をし、ポータルサイト反響の獲得ノウハウを聞くと、その「徹底ぶり」にとても驚いた。またこの会社とは別にSNSで多くの反響を獲得している不動産会社の幹部のかたとも話をする機会があった。こちらの会社も、先程の会社と同様に非常に戦略的に集客対策を行っていた。
また別の機会には、とある紹介ルートから多くのユーザーを獲得している不動産会社と会った。この会社も上記2社と同様に、とにかく多くの戦略を実行していた。
どうやら集客に成功している会社は、その個別のやり方は違えども、多くの点で共通しているところがあるようだ。
逆に言えば、集客に苦戦している不動産会社も、これはこれで共通点がある。「なかなか集客に苦戦をしていて・・」と呟く会社が、「できていないこと」は、不思議なもので同じなのだ。
今回は、不動産会社の集客で成功している企業の共通点を紹介したいと思う。使う集客ツールは、企業によって、また時代によって違えども、このあたりを徹底していけば、勝ち筋が見えてくるかもしれない。
・自社の「見え方」を徹底して考える
たとえばポータルサイトでの反響獲得が得意な会社は、ポータルサイトの会社ページにとても気をつけている。会社ページには、自社の特徴をしっかりとわかりやすく記載し、またスタッフ写真、コメントも充実している。
また、SNS集客が上手い不動産会社は、「アカウント名」、「アカウントのアイコン」、「アカウントページの説明」までかなり気を使っている。さらにいえば、法人や学校の紹介顧客ルートからの反響を多く獲得できる不動産会社は、「会社HP」や「会社案内」などを他社よりもしっかりと作り込んでいる。
一時的な反響増加や集客獲得ではなく、長期的に集客ができている不動産会社は、まず「自分たちの見え方」を徹底的に考える。当然のことながら、一時的な施策だけでは、中長期的な集客はできない。どのような媒体や方法を使えども、長期的な反響獲得のためでは、「自社の見え方」を徹底的に考えたほうがよい。
・他社の上手くいっている方法を取り入れる
自社のやり方だけには拘らず、他社の上手い集客方法を取り入れる。以前、このコラムで紹介したTTP（徹底的にパクる）というやり方だ。
たとえば、ポータルサイトの物件掲載方法でも、他社の掲載方法を上手く取り入れたり、ＳＮＳの上手い掲載方法があると、それを自社の掲載内容に取り入れたりすることなどがそれにあたる。丸ごとパクるわけではないが、上手くいっている他社の手法はしっかりと自社内で吸収する。どうしても「方法論」が固まりがちになってしまうが、定期的に他社の取り組み状況を見て、柔軟に対応していくことを忘れてはならない。
・KPIのセットと重要KPIの設定
反響数、反響単価、反響来店率など、不動産会社の集客においては、様々なKPIがある。集客に成功しているどの不動産会社もこうしたKPIをしっかりとセットし、定期的な観測をしている。いっぽうで集客に苦戦している不動産会社は、KPIを設定していない、もしくは設定していても数値を追わなくなることが圧倒的に多い。いきなり集客施策を打ったからと言っても、すぐには反響獲得には繋がらない。しつこくKPIを追っていくことが重要なのだ。
また集客に成功している不動産会社には興味深い共通点がある。それは、「重要なKPIを絞り込んでいる」ということだ。成功している不動産会社は、4つ、５つの指標数値を追わない。2〜３項目ぐらいのKPIを重要指標としてセットしている。あまり追う数値が多すぎると、打ち手が弱くなることが原因なのかもしれない。
・掲載作業や営業活動のルール化
これは当然のことかもしれないが、集客がうまくいっている不動産会社は、とにかく「掲載のルール」や「投稿のルール」を徹底している。営業活動であれば、「営業マニュアルの徹底」というところだ。
掲載であれば、写真の枚数、明るさ（角度まで）、コメント、チェックマークの徹底を行っている。SNSでの投稿であれば、編集に細部まで拘る。こうしたところをどこまで細かくルール化し、それを実行できているかだ。
またさらにいえば、こうした企業は「やらないこと」も徹底している。「こうした物件は掲載しない」、「こうした投稿は行わない」、営業であれば「値引きの対応は、ここまでしか対応しない」などがそうだ。こうしたところも、共通点のひとつである。
・迅速なPDCA運用
どのような集客対策を行っても、それはいつか古くなり、通用しなくなる。常に結果を振り返り、短期間で改善対策を実施することを忘れてはいけない。集客に成功している不動産会社は、このPDCAの改善サイクルがとても早い。週次などで重要KPIを振り返り、上手くいっていない場合は、しっかりとその検証を行う。こうした取り組みも大変だが、しっかりと実施していくことが重要だ。
以上のように集客に成功しているいずれの不動産会社も、上記の項目を徹底している。おそらく時代が変わってもこのあたりの対策は変わらないのかもしれない。是非集客に力を入れたい不動産会社は、参考にしてほしい。
記事提供：南総合研究所
