お部屋探しのユーザーとの目線を合わせることが成功の近道[南総合研究所]

  1. 不動産事業者向けコラム

仲介業務でどのように売上を上げていくのか

「仲介業務でどのように売上を上げていくのか」

 この質問に明確な答えをだすことは、なかなか難しい。まず集客面でかなり精緻な戦略を組み立てなければいけないし、また営業面でもそれなりのノウハウが必要になる。しかし、こうした難しい難題に対して、ほぼ間違いないといえる圧倒的に重要なポイントがある。

 それは、「お客さんとの目線を合わせられるか否か」である。

 最近、仲介の現場でお手伝いしている際に気づいたことがある。

 賃貸であれば、お部屋を探している大半のユーザーが、どの時期に物件を内見すれば良いのかわからない。実際の現場を経験すると、かなりこうした場面に遭遇するだろう。

 たとえば、引っ越し時期が今から半年先でも、とにかくスグに部屋を内見したいという問い合わせが多数来る。勿論、半年後よりも、今探したほうが良い理由をとうとうと説明できる営業マンであれば良いが、なかなかそう上手く全員がユーザーを説得できるわけではない。また、現実的に半年後にしか引っ越ししかできないユーザーも多く存在しているのも事実だ。

 また、売買の仲介現場でもそうだ。そもそもユーザー自身が、どれぐらいの価格の物件を自分が購入できるのか、自分自身で把握しているケースは少ない。また頭金を全く準備していない状態で内見を希望するユーザーも多い。

 はたしてなぜこうしたケースが多いのか。これは、あくまで個人的な考えだが、「反響数」というKPIを重視し過ぎた業界の構造の問題があるような気がする。

 ポータルサイトでも、まず第一の目標は、反響総数だ。いかに多くのユーザーを不動産会社に送客するのかが重要視されている。とにかく不動産会社に見込み客を送客すること。この数が少なければ、ポータルサイトとしては、致命的な欠陥となる。また、さらに不動産会社自身でも集客数が当然のことのように重要視されてきた。とにかくお客さんを集める。そのなかで、良質なユーザーに営業していく。

南総合研究所

 しかし、このような流れが強くなり過ぎると、別の問題が生まれてくる。

 まずユーザーは「いつ」問い合わせをすれば良いのかがわからないまま問い合わせをする。仮に、よくわからないまま問い合わせをして、内見をしても、種々のユーザーの事情があり、引っ越しができない。そうすると、ユーザーも不動産会社も内見した時間が無駄になる。気にいった物件と出会っても、そこに住まなければ、どうしようもないのだ。

 本来ならば、本当に引っ越しができる状況(賃貸であれば引っ越し時期から逆算して1か月、売買ならば頭金の準備と引き渡しの想定時期から2ヶ月)を業界全体で周知させることが重要だが、なかなか周知はされていない。

 こうしたユーザーの育成という観点を忘れてしまい、反響数を重視し過ぎると、「問い合わせをする最適な時期」や「物件を借りる、買う知識」がほとんどないユーザーが、ひたすら増加していく。

 繰り返すが、以上のような事象は、構造的な問題が内包されているように感じる。

 最近、物件購入のノウハウを紹介するYouTube動画などが人気だ。どのタイミングで、どれぐらいの予算で、どのあたりのエリアで購入するのかを丁寧に不動産会社の社員(もしくは社長自ら)が説明する動画だ。これがかなり好評で、多くの試聴回数を稼いでいる。

 また、賃貸でも、とある会社で、「部屋探しのノウハウ」というセミナーを実施したら、予想を超える参加希望者が集まった。

 これらは、まさにユーザーが「住まいの手続き」について、あまりわかっていない典型的な例だろう。

 冒頭に述べたように仲介事業の売り上げ向上の秘訣は、なかなか「これだ!」というものは、少ない。しかし、ユーザーと目線を合わせることで、確実に他の不動産会社よりも多くの信頼を勝ち得ることができる。今いちど、「ユーザー目線」を重視するサービスを考えて見ても良いかもしれない。


記事提供:南総合研究所


オススメの記事

特許取得!
みんなの住んでる場所から探せるゴルフ場検索はゴルギメ!
出発時間も乗り合わせルートもスグに分かる!

ゴルフ場を検索してみる

関連する記事