プロダクトを磨くのが先か、ユーザーを集めるのが先か?【南総合研究所】

  1. 不動産事業者向けコラム

 仕事柄、不定期的に不動産関係の新規サービスの相談を受けることがある。初期段階でのサービス内容自体を決めるための壁打ちを受けることもあるし、サービス自体がローンチされてから相談を受けることもある。

 面白いもので、こうした相談は、大体いつも依頼される時期が同じ時期になる。新規サービスの相談を全く受けない時期もあれば、相談が複数社から相談が来ることもある。おそらく時代の流れやトレンドの変化が影響しているのだろう。

 よくよく考えると、こうした新規サービスは、不動産業界的に4. 5年のタームで生まれていくイメージだ。前回は、コロナ禍の2020年頃だった。その頃の新規商材は、オンラインでの物件紹介サービスなどが多かったイメージだ。その前は2016年前後だろうか。ビッグデータを駆使した査定サービスなどがそうだった。今後も、あと2. 3年でまた新しいサービスが次々と生まれてくるかもしれない。

 複数のサービスを見ていくと、「上手く事業を軌道に乗せている」サービスと、「日の目を浴びないまま消えてしまった」サービスの両方がある。一見、同じような新規サービスでもしっかりと事業を軌道に乗せ、売り上げを上げているサービスとそうではないサービスがある。この違いは何であろうか?

 ちなみに、前提として「上手く事業を軌道に乗せている」サービスでも、このサービスを「黒字化」するとなると、さらにそこまでに到達できる新規サービス数は少なくなる。

 不動産サービスを作るのは、それなりに資金が必要になる。VCから調達したり、社内での資金を使ったりしてローンチすると、当然、資金を回収していかなければならない。そう考えると、「不動産の新規サービスを立ち上げ」、「事業を軌道に乗せて」、「黒字化する」サービスは、かなり数少ないのかもしれない。

 話を戻して、「黒字化する」前の「事業を軌道に乗せる」とは、「ある程度まで利用ユーザーが増加し、売上が立ち始め、認知度が高まっていく状態」だ。実際に、ここまでにするのもかなり大変である。先に述べたように、多くの新規サービスのご相談を受けると、軌道に乗せるサービスとそうではないサービスは、明確に違いがある。その違いは、「ユーザーの獲得」に重きを置いているかどうかだ。

 新規サービスで、穴のないサービスは殆ど無いと言っても過言ではない。社内で議論して、ユーザビリティを高め、リスクを可能な限り排除しても、それでもサービスの穴が生まれてしまう。

 もちろん、致命的な穴は、すぐに対応して、その穴を塞がないといけない。しかし、小さな穴、例えばユーザビリティの向上などは、優先して進めた方が良いだろうか?あくまでこれまでの経験上だが、答えは、否である。

 大きな穴ではない限り、とにかくユーザーを獲得することに優先させたサービスのほうが圧倒的に事業を軌道に乗せているケースが多い。

 特に新規サービスを進める場合は、人と資金と時間がかかってしまう。人も資金も潤沢な大企業は、「プロダクトを磨きながら、ユーザーを獲得する活動を行う」ことができる。しかし、実際にはなかなか難しい。

 以前、とある不動産サービスを成功させている社長と会話をする機会があった。その際、その社長はこう言っていた。「とにかくサービスを作って、まずユーザーを集める。ユーザーを集めながら、サービスを改善させることが一番重要です」

  面白いもので、他のサービスを成功させた不動産会社の社長も同じことを仰っていた。企業向けのサービスであれ、エンドユーザー向けのサービスであれ、まずは「顧客を獲得すること」が何よりも重要なのだ。

 ただ、難しいのは、不動産業界で、この「顧客を掴むこと」である。特に不動産会社向けのサービスは、かなり強いルートがないとなかなか新規サービスは、導入してくれない。また、エンドユーザー向けのサービスでユーザーを獲得するためには、強力なマーケティング施策とそれに対応する強いオペレーションの構築が必要になってくる。

 これから不動産サービスを作る際には、どのようなサービスを作るのかを決めた後に、しっかりと「どのようにユーザーを獲得するのか」を突き詰めて考えた方が良いだろう。このユーザー獲得の勝ち筋が見えたら、かなり成功率は高まるように感じる。

 実際に、私自身も驚くようなアイデアを基にした新規サービスを多く目にした。しかし、ユーザーを獲得することができなかったため、日の目を浴びることがなく、消滅してしまったサービスが大半である。それほどユーザーの獲得が重要なのである。

 是非、これから不動産系の新規サービスを開発しようとされるかたは、参考にしてほしい。


記事提供:南総合研究所


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