宅建がないとキャリアが詰む?仕事と両立する勉強法とは?【南総合研究所】

  1. 不動産事業者向けコラム

 4月になると、多くの不動産会社に新入社員が入社する。不動産業界において、宅地建物取引士(宅建)の資格は非常に重要だ。特に、新入社員として入社したばかりの1年目や2年目のうちに取得しておくことが望ましい。宅建を取得せずにキャリアを進めていくと、後々大きな壁にぶつかることになるからだ。よく新入社員研修などで先輩社員が「宅建の重要性」のような内容で研修を行うが、キャリアを進めるうえで、宅建取得は本当に「重要」になる。

 そもそも不動産業界では、宅建を持っているかどうかで業務の幅が大きく変わる。契約業務に携わるためには、少なくとも1人以上の宅建士が必要になるため、資格を持っている社員は重宝される。逆に、資格がないと業務の制限が多くなり、昇進や給与にも影響することがある。会社によっては、一定の年次までに宅建を取得しないと昇進できないケースもある。資格がないまま年次を重ねると、「今さら勉強を始めるのは大変だ」と感じてしまい、結果的にずるずると取得せずにキャリアを進めることになる。その状態が続けば、後輩に追い抜かれることも十分にあり得る。

 とはいえ、入社して間もない新入社員が、仕事を覚えながら宅建の勉強をするのは簡単なことではない。新しい環境に慣れるだけでも精一杯の中で、資格試験の勉強時間を確保するのは難しく、体力的にも厳しくなる。特に、不動産業界は繁忙期があり、残業が多い時期もあるため、「仕事が忙しくて勉強が進まない」という状況に陥りやすい。実際、入社当時、モチベーション高く宅建を取ることに意欲を燃やしていた新入社員が、夏頃になると全く宅建の話題を出さないようになっていくケースを多く見てきた。 しかし、「仕事が落ち着いたら勉強しよう」と考えていると、いつまでも学習のスタートが切れないまま試験日が近づいてしまう。そうならないためにも、しっかりと学習計画を立て、効率的に勉強を進めることが重要だ。

宅建合格に向けた学習計画の立て方とは?

宅建の試験は10月に実施されるため、4月に学習をスタートすれば約6か月の勉強期間を確保できる。この期間を有効に活用し、段階的に知識を積み上げることが合格への鍵となる。

 まず、学習を始める前に、試験範囲を理解することが重要だ。宅建試験は、大きく分けて「権利関係(民法など)」「宅建業法」「法令上の制限」「税・その他」の4分野で構成されている。このうち、特に重要なのは「宅建業法」だ。宅建業法は試験の中で最も配点が高く、合格に直結するため、優先的に学習するべき分野となる。

 次に、具体的な学習スケジュールを作成する。例えば、以下のように月ごとに学習の目標を設定するのが効果的だ。4月から開始するならば以下のような計画が良いだろう。

  • 4月〜5月:基礎固め(各分野の基本的な知識をインプット)
  • 6月〜7月:応用学習(過去問を解きながら理解を深める)
  • 8月〜9月:実践演習(模試や過去問演習を繰り返し、試験に慣れる)
  • 10月:総復習と最終調整

このように、段階的に学習を進めることで、効率よく知識を定着させることができる。

時間の作り方と効率的な学習方法

 学習計画を立てても、「仕事が忙しくて勉強する時間がない」と感じることも多いだろう。そこで、限られた時間を最大限に活用するための工夫が必要になる。

まず、スキマ時間を活用することが重要だ。例えば、通勤時間や昼休みの30分を利用して、テキストを読む、スマホの学習アプリで問題を解くといったことができる。たとえ短時間でも、積み重ねることで大きな差が生まれる。

また、朝の時間を活用するのも有効だ。仕事が終わった後に勉強しようとすると、疲れがたまって集中力が続かないことが多い。そのため、朝の1時間を勉強に充てることで、効率的に学習を進めることができる。朝は頭がスッキリしているため、新しい知識を吸収しやすい。さらに、勉強を習慣化することも大切だ。「毎日決まった時間に勉強する」とルールを決めることで、自然と学習のリズムが身につく。例えば、「毎朝7時〜8時は勉強の時間」と決めてしまえば、迷うことなく学習を継続できる。個人的にも合格された社会人のかたは「朝型の勉強習慣」で乗り越えた方の割合が多い気がする。

 加えて、過去問を中心に学習することも効果的だ。宅建試験は、毎年似たような問題が出題される傾向があるため、過去問を繰り返し解くことで試験の傾向をつかむことができる。インプットばかりに時間をかけるのではなく、アウトプット(問題演習)を重視することで、実戦力を養うことができる。

 宅建は、不動産業界で働く人にとって非常に重要な資格だ。特に、新入社員のうちに取得しておくことで、キャリアの選択肢が広がり、仕事の幅も増える。一方で、仕事をしながら勉強するのは大変であり、時間の確保が課題となる。だからこそ、計画的に学習を進め、効率的に勉強することが求められる。学習計画を立て、スキマ時間を活用し、朝の時間を有効に使うことで、限られた時間の中でも十分に合格を目指すことが可能だ。宅建の試験は決して簡単ではないが、正しい方法で学習を進めれば、確実に合格へと近づく。仕事と勉強を両立しながら、計画的に学習を進め、宅建取得を目指していこう。


記事提供:南総合研究所


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