TikTokは、賃貸仲介の主流な集客導線になるか?【南総合研究所】

  1. 不動産事業者向けコラム

 ちょうど10年程前になるが、賃貸仲介の集客方法に大きな転換点があった。その当時は、大多数の不動産会社がポータルサイト、もしくは飛び込み来店に頼って集客を実施していた。いっぽうで、この当時からホームページの集客やSNS(当時はfacebook)で集客を行う賃貸仲介会社が台頭してきた。

 これまでポータルサイト一辺倒、もしくは出店場所のみで勝負してきた賃貸仲介会社からすれば、まさに目に鱗の集客方法だった。新しい取り組みを実施した仲介会社は大きく成長し、業界のリーディングカンパニーとなっていた。また、それから数年が経つ頃には、多くの賃貸仲介会社が情報共有を行うようになり、よくセミナーや勉強会を実施するようになった。その当時は、確かにかなり同業者の横の繋がりは強かったように感じる。

 しかし、賃貸仲介業界界隈では、今はそういったセミナーや情報交換などは、以前ほど盛んにはなっていない。勿論、ノウハウの共有や経営戦略的な目線では、現在も多くの勉強会や情報交換会は開催されているが、「集客方法」という観点では、あまり盛んにはなっていない印象だ。いっぽうで賃貸管理会社では、様々なセミナーや情報共有が実施されている。DX化が進んでいたり、資格取得の必要性があったりなど様々な業界革新が現在進められていることが理由なのだろう。

 では、賃貸仲介でこうした革新的な動きは、現在なくなっているのであろうか。

 実際は、賃貸仲介の集客方法は、かなり大きく変化している。特に「TikTok」を使った部屋探しの反響は、凄まじく激増している印象だ。各社でTikTokを上手く運用させ、これまでポータルサイトで獲得したきた反響数の何倍(多いところだと、10倍以上)も獲得した仲介会社もあれば、TikTok一本で仲介事業を成立させている仲介会社も存在している。

 興味深いのは、こうした集客の転換が起こっていても、なかなか業界全体でキャッチアップできていないことだ。理由としては、こうしたTikTokを運用している仲介会社は、直接DMで当事者間同士のコミュニケーションを取り、情報交換を行ったり、Twitterなどで、それぞれの方法を紹介しあったりしているところが理由のひとつだ。決して表向きに情報連携をしなくても、SNS上でナレッジシェアをしているのである。

 賃貸仲介業でのTikTokの集客方法の大半は、「物件動画紹介」である。音楽を流し、早口でナレーションを行い、コンパクトに物件を紹介する。スタッフ、もしくはモデルを使い、見映えを良くし、テンポ良く物件を紹介することがポイントだ。

 フォーマットは同じ様だが、細かくTikTokを見ていくと、各動画によって、再生数に差があることがわかる。再生数が大きく伸びている動画は、物件自体のコンテンツ、スタッフの質、そして編集まで全て高いクオリティを維持している。また、継続的にこうした動画をアップし続けるアカウントは、全体的に再生数が高い。

 また、「ノウハウ系」の動画も多くの再生数を獲得できている。「内見時の注意点」、「初期費用の計算方法」などがそうだ。社長やスタッフ、もしくはモデルなどが登場し、講義形式で端的に説明していく。こちらも多くの不動産会社が実施しているが、再生数が多いものは、ユーザーが知りたいノウハウの提供、わかりやすい編集、スタッフの質などが高いクオリティのものになる。

 またTikTokで多くの反響獲得している仲介会社は、TikTokから LINEにユーザーを誘導する。店舗LINEでユーザーとコミュケーションを行い、商談や内見に繋げていく。

 こうした取り組みは、ホームページのSEO対策やポータルサイトの反響獲得とは、全く別のノウハウが必要になってくるのだ。

 20代のユーザーは、今や40代以上の人間では想像できないほどTikTokを使い、検索や購買活動を行っている。今後は、こうした流れがさらに加速していくだろう。

 それに応じて、賃貸仲介業においても、TikTok内で「新しい方法を使った物件紹介動画」、「新しい方法を使ったノウハウ提供の動画」、はたまた「全く新しい集客方法を実施する動画」が生まれていくだろう。

 今後、賃貸仲介の在り方を大きく変える不動産会社は、もしかしたらこうした集客活動の取り組みで頭ひとつ抜け出た企業なのかもしれない。いずれにしても数年後、賃貸仲介の集客方法の主流がどうなっているのかがとても楽しみである。


記事提供:南総合研究所


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