社内の文化は、細部に宿るという話【南総合研究所】

  1. 不動産事業者向けコラム

 先日、とある男性の方と会食をした時、その方はこんなことを言っていた。「毎朝、5時に起きて子供の保育園に行く準備をして、子供を送り届け、そのまま出社します。仕事が終わるのは、だいたい20時頃(子供の迎えは奥さんの担当だそうだ)。家に帰って、さらに事務仕事をして、眠るのは1時頃。それがほぼ毎日です」なかなかハードは毎日である。正直、自分の日常とは、全く異なる。しかし彼にとってこの日常は、当たり前であり、逆に他の人の日常生活は、あまりイメージできないようだ。

 個人の生活スタイルは、当然それぞれ異なる。自分にとって当たり前だと思っていても、他の人から見れば珍しく見えることが多い。

 また少し話は変わるが、会食や約束にほぼ100%遅刻する人がいる。待ち合わせ時間ぴったりに来るわけではなく、ほぼ毎回30分程度、酷い時には1時間程遅刻する。いっぽうで、時間をしっかりと守る人もいる(大半の人がそうですが。。)。こうした些細なことも人によって基準が異なるだろう。

 職業柄、いろいろな不動産会社を訪問することが多い。多数の不動産会社を見ると、それぞれの会社の独特の文化があり、興味深いと感じることがたくさんある。

 とある不動産会社では、打ち合わせ時に全員ノートを開き、メモを取る。ノートパソコンを閉じて、一斉にノートに打ち合わせの内容を記載する。最近では珍しい光景だ。その会社の別のかたと打ち合わせをしても同様にメモを取るので、これは会社の文化なのだろう。

 またなかには、打ち合わせ時に、かなり尊大な態度をとる上長が多い会社もある。ストレートに言えば尊大というより、かなり失礼な態度と言っても良い。足を組み、取引業者にはタメ口を使い、やたら高圧的な態度で対応する。面白いもので、その会社の上司の多くが同様の対応を取る。

 また挨拶なども会社によって様々だ。訪問時に分け隔てなく「こんにちは」と元気に挨拶をして頂く会社もあれば、全く挨拶をしない会社もある。

 さらに言えば、社内の清掃が行き届いている会社もあればそうではない会社もある。本当に各社によってそれぞれの特色があり、なかなか面白いものだ。

 こうした目に見える表面的な部分だけではなく、具体的な業務の部分でも各社の独特の文化のようなものがある。仕事柄、それぞれの不動産会社の業務に入り込むことが多いので、このあたりを感じることが多い。

 とある会社では、毎朝必ず同業者のプレスリリースやSNSの発信などをチームで確認する。そこから業界の動きや自社の新規サービスのアイデアのヒントを得ている。こうした取り組みは、大体が数ヶ月や1年で終わるケースが多いが、その会社は10年近くこの確認作業を行なっている。まさに会社の文化である。ちなみにその不動産会社は、現在、業界内でも大きく成長している不動産会社のひとつになっている。

 また「結果」に徹底的にこだわる会社もある。目標数値を設定して、その目標が届かない可能性がある場合は、チーム内でミーティングを開き、原因を究明し、徹底的に対策を練る。多くの会社でも同様の対応を取るかもしれないが、チームや部署によってその熱量は異なる。しかし、その結果にこだわる不動産会社は、この徹底した取り組みが全チーム、全部署に浸透している。当然、この不動産会社も、とても成長率が高い。

 また報連相も各社によって異なる。報連相を徹底し過ぎて、メンバーの業務の大半が報告や共有ばかりになっている会社もあれば、報連相の文化がないためトラブルが後を経たない会社もある。一方で、程良い報連相のルール(必要な時に必要な報連相を求め、基本は業務に専念させる)を決めて、生産性を上げている会社もある。

 よくよく考えてみると、発信力の高い不動産会社とそうではない会社の違いは、この社内の文化や常識によるのではないかと感じる。

 どんどん自社の取り組みを外部に発信する会社は、この発信の文化がしっかりと社内に根付いている。しかし、PRが苦手な不動産会社には、こうした文化が根付いていない。SNSなどを上手く駆使している不動産会社は、完全に情報発信が文化として根付いている。

 個人の習慣もそうかもしれないが、最初は面倒でも継続していくと、それが習慣になっていく。そして、その習慣の行為を複数人の同グループで継続していくと、それが「文化」になる。社内の清掃や挨拶や打ち合わせ時の対応、そして業務に至るまで、時間が経つと独特の文化を持つ会社が多くなるのは、これが原因なのだろう。

 是非、今一度、社内の常識というものを改めて検証しても良いかもしれない。これまで当たり前だったものを見直すことで、会社の文化を良い方向にシフトチェンジできる可能性が高い。社内の常識やルールを変えるのは、なかなか骨の折れる作業である。しかし、それを変えることで会社として別のステージに立つことができる。

 表面的な変化は、継続しない。変革を起こすためには、習慣を変化させるしか方法はないように感じる。


記事提供:南総合研究所


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