物件をPRするという発想【南総合研究所】

  1. 不動産事業者向けコラム

物件をPRするということ

 たとえば、新築分譲マンションなどが売り出される時などは、大手の販売不動産会社では多額の広告宣伝費をかけ、物件の宣伝を行う。ご存知のように物件の特設ページ、チラシ、垂れ幕、動画サイネージ広告などを使い、複合的な広告宣伝を行い、物件をPRする。

 しかし、これが中古物件になると、そうはならない。当然といえば当然だが、中古物件の販売タイミングは各戸によって異なる。新築のような広告費をかけることができないのが、現実だろう。

 では、賃貸マンションではどうだろうか?新築賃貸マンションの広告といっても、せいぜい凝ったチラシ、図面を作成する程度ではないだろうか。新築賃貸マンションは、広告費をかければかけるほど、マンション経営に直接的な影響のあるコストが発生してしまう。なるべく広告宣伝費を抑えて、満室にしてしまいたいのが、オーナーの本音だろう。また同様に、中古の賃貸マンションの空室なども、言わずもがなである。仲介会社に支払う広告料(AD)以外は、あまりコストを発生させたくはないだろう。

 話は変わるが、最近、賃貸マンション市場は、大きな市況変化の時期に差し掛かっているという実感がある。郊外の物件の稼働率が以前よりも大幅に高くなったり、都心のワンルームが少しずつ空室が目立ち始めたりなど、なかなか今後の展開が読みづらい状況になっている。

 今まで、即申込を獲得している物件が長期空室になったり、逆になかなか借り手がいなかった物件が人気になったりと、非常に興味深い市況の変化が、生まれているようだ。

 ただ、このような市況の変化はあれども、「決まりやすい」物件と、「決まりにくい」物件の二極化は、今後も進んでいくだろう。

 「決まりやすい物件」には、反響が多く、「決まりにくい物件」は、閑古鳥が泣く、という状況がより明白になっていくのではないだろうか。今後、顧客のニーズが変化しても、物件の人気の偏りが平準化することは、おそらく今後もなさそうである。

賃貸物件の長期空室を防ぐPR方法は?

 さて、このような変化が読みづらい状況、そして物件の人気が二極化する状況下のなかで、賃貸物件の長期空室を防ぐ方法には、どのような方法があるだろうか。

 いかに空室物件を申込に結びつけるか、という方法、施策のことを「リーシングマネージメント」と言われる。数あるリーシングマネジメントのポイントのなかで、今回は、「物件の掲載媒体」の点に絞って考えてみたい。

基本中の基本であるポータルサイト・業者間サイトへの登録

 まず、不動産会社は、管理物件が空室になった(もしくはこれから発生する)際に、「ポータルサイト」、および「不動産業者間向けサイト」に掲載することが一般的だろう。これは、現在、多くの賃貸管理会社が実施しているスタンダード な方法だ。ポータルサイトに掲載し、ユーザーからの問い合わせ獲得を狙う。また、レインズ、atbbのような業者間サイトに登録し、他社仲介の促進を図る。まさに基本の業務である。

 しかし、このような通常の物件掲載をしても、なかなか反響が獲得できない場合は、「物件のPR施策」を検討してみても良いかもしれない。ただ、冒頭に述べたように、大掛かりな「物件のPR施策」を実施すると、かなりのコストが発生してしまう。そこで、少額で実施できる「物件PR施作」を打つことを検討材料に入れてみてはどうだろうか。

 少額でも対応可能な物件のPR施策として、効果的な方法としては、「他社サイトへの掲載依頼」および「物件の取材協力」などがある。

他社サイトへの掲載依頼

 「他社サイトへの掲載依頼」は、多数の反響獲得をしている不動産会社のWEBサイトに掲載をお願いすることだ。サイトによっては、とあるジャンル、とあるエリアであれば、ポータルサイトに負けずとも劣らず反響を獲得することができるサイトがある。そうしたサイトを運営している不動産会社、および運営会社に、掲載をお願いしてみるのも、ひとつの方法だろう。おそらく断られることも殆どないので、いろいろと依頼してみても良いかもしれない。たとえば、多くのユーザーを獲得しているリノベーションサイトなどは、まさにポータルサイトでは、埋もれがちな物件に光りを当てることができるだろう。

物件の取材協力

 また、「物件の取材協力」も、ひとつのPR施策である。これは、多くのフォロワーを獲得している物件紹介系のYouTubeチャンネルやインスタアカウントに、物件の掲載をお願いすることである。人気のある物件紹介チャンネルは、物件のマイナス面もうまくアピールしてくれる。マイナス面を、「マイナス」ではなく、「個性」として打ち出すことで、ユーザーに好印象を与えることができるのだ。

 これまで「物件のPR」というと、やたらコストが発生したり、大掛かりになるというイメージがあったかもしれないが、最近はそんなことはない。少額(もしくは無料)でも、多くの効果を生み出せるような物件PR方法は、いくつかある。

 今後も、物件の人気は、二極化していくだろう。もし苦戦が予想される物件があった際は、少し視点を変えて、最適な「物件のPR方法」を考えてみても良いかもしれない。


記事提供:南総合研究所


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