採用サイトを作ることで、生まれる不動産会社のアイデンティティ【南総合研究所】

  1. 不動産事業者向けコラム

不動産会社における採用サイト 

この数年、企業研究のために、不動産会社の採用サイトを見ることが習慣になっている。有名な転職サイトで、大手の不動産会社の募集ページを見ることもあれば、会社独自で作成した自社の採用サイトを覗くこともある。いずれにしても、千差万別、企業というものは、本当にいろいろな会社があるのだな、と感じてしまう。またそれと同時に、こうしたサイトを覗き続けていると、企業の特徴や景気の状況なども見えてくるから、とても興味深い。

 とある企業の採用サイトでは、社長の人柄を全面に押し出し、その企業の魅力を伝えている。また、とある企業では、社員の働く姿を取材して、コンテンツ化している企業もある。やはり社長であれ、そこで働く社員であれ、仕事をする人間を全面に出した企業のページは、透明性があり、とても好感を持ちやすい。

 また、とある企業では、事業の中身を事細かに伝えている。自社の事業を今後どのようなサービスを行なっていくのか、またこの事業は、市場にどのようなインパクトを与えていくのか、このような事業計画をしっかり伝える採用サイトもある。

 いっぽうで、採用サイトでは、当然のことながら、企業の雇用条件を募集要項で確認することができる。たとえば、高い歩合制度の給料体系だった企業が、固定給制度にしたり、定量評価(実績重視)を重んじていた企業が定性評価を施していたりなど、企業の人事制度の変化を感じることができる。

 また、興味深いのは、やはり景気によって企業の採用活動は、色濃く反映されているということだ。コロナ前などは、本当に不動産会社の人材募集は多かった。しかしコロナ禍になり、採用を進める不動産会社が急激に減っていたように感じる。

 ただ、売買仲介会社は、現在も積極的に採用を進めているようだ。やはり、都心離れから、郊外戸建ての需要が高まっている影響なのかもしれない。

ブランディング施策にもなる採用サイト

 さて、以上のような採用サイトおよび、採用ポータルサイトの掲載だが、今回お伝えしたいところは、自社で持つ採用サイトは、ひとつの大きな「ブランディング施策」となり得るということである。採用ポータルサイトなどは、掲載料金発生してしまうことがあるが、自社の採用サイトは、最初の制作費程度以外のコストは発生しない。また、サイト自身が「会社の顔」としてなりうることができる。

採用サイトを作成・掲載するメリットとは 

 たとえば、部屋探しのユーザーが物件に問い合わせをし、商談まで行く場合、かなり多くのユーザーが、物件情報を掲載している不動産会社のホームページを確認する。はたして、自分に物件を紹介してくれる不動産会社は、どのような会社なのか。安心できる会社なのか。そうした思いでユーザーが、掲載先の不動産会社のサイトを確認した際、しっかりとした自社サイトがあると、ユーザーは安心する。その会社の報告性や事業の取り組み方、働いているスタッフの顔を確認することで、不安感を取り除くことができる。

 また、自社の採用サイトを用意することで、予期せぬ嬉しい応募を頂くこともある。とある会社では、自社の採用サイトに定期的に応募が来るので、採用コストが殆ど発生しないとのことだ。不動産会社、特に仲介会社では、採用コストがそれなりのコストの比重を占めるケースも多い。そうした財務観点から見ても、採用サイトを用意しておくことは、メリットがとても大きい。

 以上のように自社内で採用サイトを作成、掲載をしておくことは、大きなメリットがあるが、はたして、それは大手企業やそれなりの人員を抱えている企業でしか効力を発揮できないのではないか、と考えがちだが、決してそうではない。こうした取り組みは、小規模企業でも充分効果を発揮することができる。逆に小規模企業のほうこそ、採用サイトを制作することで大きなメリットを受けることができる。

理由としては、改めて自社の企業理念や事業の方向性、そして現状の課題を認識できることにある。サイト制作の際、まず「どのような人物にジョインして欲しいか」という基本的な問いかけから始めなければならない。その際、自社で獲得したい人材の明確なペルソナ化をすることで、結果的に企業の理念などを見直す契機にもなる。

 また、これまで曖昧だった報酬形態も改めて見直すことができる。そうすることで、既存のスタッフへの発信などを強めていき、会社の方向性を結果的に内外に知らせることもできる。

採用サイト作成における懸念とその解決方法 

ここで懸念点なのが、サイト制作のコストなのだが、現在はそこまでコストはかからない。LP制作だと、工夫して自分で記事等を仕上げてしまえば、10万円未満で抑えることもできる。一昔前のホームページ制作費用よりも随分安価で制作することができるのだ。

まとめ 

 現在、人員不足で悩んでいる企業だけではなく、今、人員が充分な企業もひとつの「会社の顔」として採用サイトを作ってみてほしい。制作の過程で、自分たちの足元を確認し、これからの行き先も考えることができるし、また、完成後は、大きな「広報機能」とすることができる。是非検討して見てほしい。


記事提供:南総合研究所


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