不動産会社のブランディング施策の効果には、どのようなものがあるか[南総合研究所]

  1. 不動産事業者向けコラム

 先日、YouTube等のSNSを運用している不動産会社の社長と話す機会があった。このかたは、YouTubeチャンネルを開設し、運用を始めて約1年になる。1年も経つと、かなり業界内の認知も上がり、さまざまな効果が生まれているようだ。今回は、不動産会社がブランディング施策を行った際の成功事例を紹介したい。

 まず、不動産会社のブランディング施策とは何かを、改めて取りまとめてみたい。

 不動産会社のブランディング施策とは

 そもそもブランディングの目的は、1.自社の認知度の向上、2.自社サービスの認知度の向上という、いわゆる「自社または、自社のサービスを知ってもらう」という基本的な目的がある。しかし、これではブランディングが成功したとは言えない。3.社名、サービス名を聞いたら、その企業イメージが想起できる。4.何かのサービスを使用する際に、そのサービスの希望条件から想起される企業になり、実際問い合わせを獲得できる、までが、ゴールだろう。なかなかこの3と4まで辿り着く企業は少ない。

 上記のゴールを不動産会社に当てはめて、より具体的に考えてみると、ブランディングの目的が明確になる。たとえば、賃貸領域で考えると、お部屋探しの際に想起される企業名、もしくはサービス名になること。また、オーナーが管理を任せようかと思った場合に、思い浮かべることができる、企業であること、そしてそういったサービスであることがあげられる。

 また、売買領域で考えると、不動産売却を依頼しようとした際に、想起される社名、サービスであること。そして、購入時に不動産会社に相談をしたい場合、想起される会社であること、などがあげられるだろう。

 一見すると、顧客にこのような社名、サービスを想起させることは、とても難しく、実現不可能なイメージがあるかもしれない。しかし、これが15年前ならそうだろう。当時、中小企業がブランディング施策を行うことは、今よりも何百倍も困難だった。しかし、現在は全く異なる。小さな不動産会社でも、しっかりとSNSを使えば、ブランディング施策を打つことができる。また、それをしっかりと戦略を組み立てて、実行を継続すれば、大きな恩恵を受けることができる。

 実際に、冒頭に紹介したSNS運用を1年程度運用している不動産会社は、リファラル(紹介)案件の獲得、自社媒体からの反響獲得などの恩恵を受けている。ある一定のフォロワーや、再生回数(動画であれば)を超えると、指数関数的に効果が現れるようだ。

 ちなみに、このような効果が生まれるまでは、最低でも半年以上は要するようだ。効果が生まれるまでは、しばらく踏ん張って運用していかなければいけない。そのためには、最初に述べた「目的設定」が重要になるのだ。

 ちなみに、このようなブランディング施策の効果として、もうひとつ重要なメリットを忘れてはいけない。それは、「ブランディングの恩恵による広告宣伝費の削減」である。

 ブランディングが浸透すればするほど、反響などの獲得単価が低くなる。つまり例えば、今まで1万円かけて獲得していた反響単価が、ブランディング戦略の成功により、5,000円になる。また、反響に対しての成約率も、ブランディングが効いてる場合と効いていない場合は、大きく異なる。以上のように、売上の部分だけではなく、長期的はコスト観点の面でもブランディングは、貢献できるのだ。

 不動産会社にとって、主たる変動的なコストは、「人件費」と「広告宣伝費」だ。この二つの支払いに多くの不動産会社は頭を悩ます。しかし、あるラインを超えて、ブランディングが成功した不動産会社は、このコストを大きく削減できる。これは、なかなか目に見えないところだろう。また、繰り返すが、今はSNSというツールがあるので、そこまでブランディングの運用コスト自体が重くなるわけではない。

 冒頭に紹介した会社の集客導線は、以前まではポータルサイトが主流だった。当時、その広告コストに対して、社長は頭を悩ましていた。しかし、今やポータルサイトを使った集客ではなく、その大半が自社媒体からである。実際に広告宣伝費の大幅なコストダウンに成功したようだ。

 また、こうした広告宣伝費以外にも、日々発信する会社の取り組みに賛同した求職者が増加し、人材獲得コストも抑えられているようだ。先程述べたように、人材不足とそれに伴う採用コストも、なかなか悩みの種である不動産会社は多い。

 ほんの少し長期的な視点になるかもしれないが、是非、改めてブランディング施策の検討を始めてみてはどうだろうか?

 ゆくゆくは、会社の悩みの種を解消できる可能性が大いにある。是非、今一度、自社のブランディングに対して、検証してみてほしい。


記事提供:南総合研究所


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