不動産会社のDX化の方法とは?【南総合研究所】

  1. 不動産事業者向けコラム

2022年5月から賃貸借契約の電子契約が一気に広がると予想されている。いきなり5月から業界の大きなシフトチェンジが起こるわけではないが、確実に業界全体としては、これまでの契約業務の慣習とは違った光景になっていくだろう。今回の電子化が、どれぐらいのスピードで一般化するのかは、なんとも言えないが、なるべく早く業界のスタンダードになってほしいものだ。

 実際、最近の賃貸借の申込業務は、かなりオンライン化してきている。大手管理会社の大半が電子申込を採用している印象だ。仲介会社にとっても、またユーザーにとっても、これは大変ありがたい。

 しかし、このような導入が、大手管理会社以外は進んでいないのも問題ではある。なかなか地場の不動産会社は、こうしたものを導入することに後ろ向きなようだ。彼らの言い分としては、「今まで紙ベースで申込み手続きをしていたのに、わざわざ電子化するメリットがない」ということだろう。ごもっともだが、導入後の効果は、いろいろな部分で想像以上である。地場会社の契約電子化が一般化されたとき、はじめて業界は大きく変わるだろう。

 さて、こうした不動産業界内で、DX化を進める方法だが、不動産会社としては、どのように進めていけば良いだろうか?地場の小さな不動産会社であれ、大手の不動産会社であれ、実際のところ、社内のDX化を進める基本的なステップは変わらない。今回はこのあたりの進め方を簡単に紹介してみたい。

DX推進ステップ

 1.業務フローの確認

 売買では、売り物件取得から引き渡しまで、賃貸では、管理物件取得からリーシング、引き渡しまでの一連の業務を可視化する。簡単なもので良いので簡単な業務フローを作り、まずは業務を見える化することが最初のステップである

 2.細かい業務の分解

 業務フローを整理した後、そのフローをさらに細かい作業レベルまで見える化する。ここが非常にポイントである。大まかなフローだけでは、業務革新は起こせない。あくまで作業レベルまで落とし込まなければいけない。

 3.作業の代替可能サービスを探す

 たとえばオンライン申込手続きや、基幹システムの変更やオーナー向けアプリなどの商品が、今の業務フローと作業ベースに対して、代替可能か否かを調べる。今の世の中、調べれば調べるほど、代替可能なサービスは、いくらでもある。

 4.コストと効果を算出する

 現在の人手や業務の手間などのコスト算出を行う。そしてそれと同時に導入コスト等も調べる。結果的に導入する商品のコストが現状より下回ることが導入条件の最低ラインである。

 5.優先順位づけと相関性の確認

 いっきに全ての検討サービスを導入しようとすると、コスト増になるし、なによりも社内に浸透させることが難しい。一旦、優先順位づけを行うことが大切だ。当然だが、特に効果の高いものから始めていったほうがよい。

 また導入を検討している商材が、ほかの商材と連携が可能か否かも調べておく。(api連携など)

  6.スケジュール確定と進め方の確認

 導入から社内浸透までのスケジュールを決める。また進捗確認の方法を決める。これも大変重要だ。できるだけ定期的に導入の進捗具合をチェックする機能を付けた方が良い。(不動産会社は、特にこの導入スケジュールを引かないために、運営が破綻することが多い)

まとめ 

以上のようなステップがDX化を進めることの基本的な方法である。かなり面倒だが、しっかりとやりきればかなりの高確率で業務改善は進むだろう。

 とはいえ、実際は上記のようなスタンダードなやり方だけが全てではない。「紙の使用を無くす」という会社トップの大号令で、いっきにDX化が進む会社があったり、代表者の付き合い上、致し方なく業務改善の商品を導入したら、それが功を奏し、上手くいったというケースもある。

 ただ、実際は「DX」という言葉だけが先行して、なかなか業務改善ができない会社が多い。そうした場合は、上記のステップを是非試してみてほしい。

 本来は、こうした業務改善を社内で実施すれば良いのだが、なかなか時間が無くリソースを避けないケースも多い。予算化するにも、そもそも業務フローを作る時間がないということもあるだろう。

 そんな時は、外部の人間に委託しても良いかもしれない。実際のところ、不動産会社内のDX化は、道半ばで頓挫するケースがかなり多いように感じる。その理由は、やはり普段の業務に追われてプロジェクトがストップしてしまうことがおおまかな理由だろう。

 DX化を進めなくても、今はそこまで事業運営に課題はない、という会社が大半かもしれない。

 しかし、時間が経過するごとに、他社と比べて生産性が落ち始め、運用コストのマイナスが膨らんでいく。そしてそれを埋めようと急いで新サービスを導入しようとすると、「会社の文化」が邪魔をする。そんなケースにならないように、積極的に業務改善をして見てほしい。

 電子化が浸透するであろうまさに今が、ちょうど良い時期なのかもしれない。


記事提供:南総合研究所


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