【インタビュー】小田原を世界に発信。SNSを武器に戦うクリエイター思考に迫る

  1. キーマンインタビュー

今回は第一ハウジング株式会社 相原さんにお話を伺いました。

Twitter:小田原に住む『第一ハウジング』あなたに寄り添う不動産会社

同社は神奈川県の西湘地域を中心に、昭和52年10月に創業した歴史のある不動産会社さんです。土地の造成・販売を中心に、不動産の売買・賃貸などを提案しております。

―相原さん本日はよろしくお願いいたします。まずは相原さんの経歴を伺いたいです。

神奈川県小田原市で生まれて、約20年間、 情報誌の営業・記者を務めながらプロマジシャンとして約500ステージに出演しておりました。

テレビ番組演出やカルチャースクール講師を務めておりましたが、東日本大震災の時に 高校の同級生の紹介で小田原市の不動産会社に勤務し、第一ハウジング株式会社には2年前から勤めております。

―異色の経歴ですね!教えてくださりありがとうございます。ここからはSNSによる発信についてお聞きしたいと思います。

創業から46年目を迎える第一ハウジングさんですが、YouTubeへの参入も早く最初の投稿は4年前から発信されています。

物件のご紹介や、不動産の情報をわかりやすく解説する「噛み砕き不動産解説シリーズ」、建売メーカーさんとの協力のもと更地から家が建つまでを追いかけたドキュメント動画「アーネストワン家が建つまで」等幅広い不動産に関する動画を毎日投稿されています。

―最初の1年の動画は「小田原」のことを皆様に深く知ってもらうという動画が続きますが、対外的に発信していこうと思ったきっかけ等ございましたら教えていただきたいです!

『小田原』という街は、箱根駅伝や小田原城、テレビ番組のロケなどで知名度はあり、「新幹線も止まるし、温暖で住みやすそう」というプラスイメージを持っている方も多いと聞きます。YouTubeというメディアは、小田原市内を限定した情報発信ではありません。市外にお住まいの方で、小田原に興味を持っている方に、「住んでみたい」というベクトルを強める情報を提供し続けることを意識しています。

―なるほど。コロナ渦を経て、小田原という街はどうでしょうか?

コメント欄にも「小田原に引っ越します」や「2年経って里帰りする」と言ったコメントが見受けられましたが、体感的に周りで小田原に住む方は増えておりますか?

増えていますね。小田原というのは変わらない街なので、故郷という感覚はみんな持っているのですね。私としてもそういったシチュエーションに刺さる方の為に小田原という街を紹介しているのもあります。

―ではYouTubeは御社の中ではどのような位置付けですか?最初は集客をする為にYouTubeを始められたのですか?

YouTubeの位置付けは『第一ハウジングの社員』です。私の代わりに、物件の紹介もしますし、小田原市の情報や売買・賃貸の説明もしてくれます。小田原駅から当社までの道先案内もしてくれます。集客以外の業務もYouTubeにやらせてみたら、意外にできた、という感じです。

私がYouTube動画を本格的に始めるきっかけは『コロナ』です。最初にコロナの状況をニュースで見た時に、スペイン風邪やペストの時に何があったかを調べました。元々プロマジシャンだったので、ヨーロッパのショービジネスの歴史を見ると、接客商売が壊滅したことが書いてありました。であれば、非接触型のツールを持たないと、同じ目に遭うと思いました。当時から70歳以上の高齢者の半分が、「暇なときに、携帯・スマホをいじる」というデータもあったので、シニア層にもYouTubeは通用すると思っていました。

―相原さんがYouTubeを始めるきっかけになったコロナ渦も三年が経過しましたが、店舗へのお客様の戻りというのはどうでしょうか?

小田原もコロナの追い風はありましたが、相対的な集客数は変わっておりません。

変わったところでいうと、お部屋探しをする際、SNSで集客する、ネットで集客するといった時代が確立してきたというところですね。

―対外的に発信を始められたのは別としてYouTube、Twitter共に2011年12月からアカウントを開設されています。

相原さんが不動産業界に携わる年と一致しておりますが、その当時からSNSに注目しておりましたか?

YouTubeもTwitterも始めたのは前職からです。SNSは、早い段階から注目をしていた、というか『敵(かたき)』でした。

私が20年近く勤めていた情報紙(週刊)は、街の情報を取材して、街のお店から広告をもらって、それを編集したものを、新聞折込をしている発行形態でした。昔は、広告効果も十分あり、多くの企業や個人からご支持いただいていました。それがある時から、じわじわと広告が利かなくなりました。新聞を見なくなり、SNSで、地域情報を得るようになったからです。ウン十万もかけた広告が全く反応ないのに、素人の写真投稿が新規客で行列ができるんだから、凹みますよ。

だから、新しく飛び込んだ不動産業界だから、逆にSNSを武器にしようと思ったわけです。当時は、社内でもまったく理解されませんでしたけどね。

―動画内でも登場されているのを拝見しましたが、創業から半世紀近く不動産業に携わってきた湯川社長はSNSを発信していくことに関してどのようにお考えですか?

まったくわかってないですね(笑)「何だか、よくわかんねーけど、まぁ頑張りや」で終わりです。でも、それでいいと思っています。それなりにSEOとか、企業認知とか、私自身のアイコン化とか戦略はありますけど、社長を無理して巻き込むことはないんで。「よくわからないけど、周りがやっているからYouTubeを始めよう!」っていう会社って、大抵失敗します。飲み屋で覚えた手品を、家族に見せることと同じです。

―SNSを運用する上でやっていてよかった、または嬉しかったことがございましたら具体的なエピソードをお聞きしたいです。

当社みたいな小さな会社でも、世界に通用するメディアを持つこと、テレビ局みたいなものを持てることで、ビジネスは大きく変わったと思います。コロナで接客できないから、物件を案内している内見動画をYouTubeにアップする→TwitterやLINEで問い合わせがくる(動画を見ているから、物件のことは、ほとんど把握している)→来店して内見する時は「買うか?買わないか?」「借りるか?借りないか」の精度の高い来店となる。というものです。物凄いスピード感とヒューマンレスです。しかも、そのサービスがすべて無料であることが大きいですね。

事例で上げれば、建築不可の市街化調整区域の広い土地なんて、正直、不動産屋としては噛み応えのある物件ですよね。でも端的に『面白そう』だから現地動画にしてYouTubeに挙げるわけですよ。そうしたら、『鷹匠』から問い合わせが来て、「こんなに飛び回って練習できる場所を探していました」って。世界を相手にするって、こういうことだなぁ、と思いましたよ。

例えば私のYouTubeを見てオーストラリアの方が小田原に住みたいから来てくれるとか、中国にいる方が日本でラーメン屋を開業したいからと私の店舗の動画を見て向こうでレイアウトまで決めて、すぐにお店をオープンさせるシチュエーションになってきています。来店も一回もせず電子マネーで料金が支払われる、もうそういう時代が来ているんですよね。

―逆に難しいなと感じることはありましたか?

結局、個人の負荷が強いということですね。前記の社長との関係性でも、わかると思います。「社長、重説作らないといけないから、代わりにTwitterあげてくれます?」って言えないですよね。前職を退職するときも、難しさを痛感しました。

そういう状況下にあると結局独自で発信していくか、アウトソーシングしていくしかないですね。

―御社の内見動画はどんな部分にこだわっておりますか?

私が内見動画をアップする際気をつけていることが2つあります。

1つは、物件案内動画なので装飾を入れず実際の案内と同じように無編集にしていることです。手品師と同じで見えない部分があると”何かしている”と思われてしまうことがあります。ですので視聴者の方が何か悪い所を写しているからカットしていると思われないようにノーカットで動画をあげています。

2つ目は再生回数を追わないということです。エンターテインメントではなく、購買意欲のある方にちゃんと届くかに重きを置いているので、再生回数はあまり気にしていません。

実際にチャンネル登録者4000人でも小田原エリアの建売のほとんどの成約した方が私の動画を見て決めてくれています。

―すごいです!では今後どのような発信をしていきたいか、またSNSを使ってやってみたいことがあれば教えてください 。

まずは令和5年4月23日、連続投稿3年までは全力でYouTube動画に注力していきます。その先は、いろいろ策は練っていますが、結局、YouTubeとTwitterという舞台は変えないと思います。私自身が『情報紙出身』。

グラビアや写真週刊誌的なInstagram、チラシや野立て看板的なTikTok、回覧板的なFacebookは、相性が悪いと思っています。

―小田原を中心とした神奈川県西エリアで長年営んできた第一ハウジングさんに小田原の魅力を教えていただきたいです!

当社のチャンネルの動画を見てください(笑)。積載超過に情報提供していますよ。

まぁ、噛み砕いて言えば「海よし、山よし、天気よし」というのが小田原の売り文句です。私自身は「都会と田舎のミルフィーユ」って言っています。小学校の社会の教科書に「典型的な日本の都市」として小田原が取り上げられるぐらいですから、バランスの良い街、だと思います。

―小田原という地域は今後どうなっていくと思いますか?現状や課題等お聞かせください。

小田原は「何も変わらない」です。それは、住んでいる人が、変わることを望んでいないからです。

生活環境が悪化したら、変わらなきゃでしょ?居心地いいんですよ。全体的に温暖だし。だから年寄りも長生きする。だから、変わらない。変わりたい人は生活レベルの高い、他のエリアに向けて、小田原を出ていきますよ。変わりたくない若者も、そのまま住むから、ずっと変わらないです。怒られるかもしれないけど、それでいいんですよ、小田原は。「新しい・変わることが良いこと」は技術だけで良くて、歴史や物語や街の漂いは、変わらなくていいんですよ。それを見誤って、失敗している地方都市って多いでしょ?「小田原蒲鉾が令和に対応するために、チューブ式になってゼリー状で気軽に食べられるようになりました」って、売られたとするでしょ。「小田原蒲鉾は板付きじゃ!」って切れるのが小田原の人だから。

ー最後に今後の目標や展開を教えてください。

色々考えて、実行する。これを続けることです。

人口減少の中で不動産業界は厳しくなっていきます。それをブレイクスルーするには、TwitterやYouTube等のSNSを見るという事です。自分たちより先を走っている方々の情報を知るということが大切だと思います。

不動産って、何も変わらない業界です。ひとつ前の質問の回答ですけど、『小田原』を『不動産』に変えて、読んでみてください。それが『不動産業界』です。この世界で、SNSという新しい技術で戦っていくことがいかに大変か、と分かると思います。だからこそ、面白いんですよ。

私はプロマジシャンで仕事している時って、「ネタを考える」クリエイターという分野で戦っていました。簡単に言えば、「できないことを起こしてみて」ってことを実現するために、毎日考える仕事です。テレビ局から「空中に浮いてみて」とか、「玄関ドアを通り抜けてみて」とかの発注が来ます。普通の人は「そんなことできるか!」ってなるでしょ?マジシャンは、それを真剣に考えるわけですよ。本当に考えて無理な場合もありますよ。不動産の世界でも、課題・問題を振られた時に、「もしかしたら、いけるかも?」って考えています。そんなことしていたら結果的に誰も真似できない不動産屋になれると思うんですよね。「YouTubeやるからには3年捨てる」と決めて始めた連続投稿。今では普通の不動産屋では想像つかない景色が現在、見えています。

―相原さん本日はありがとうございました。

第一ハウジング株式会社さんの今後の活躍にも引き続き注目していきたいと思います!

小田原に住む。第一ハウジング不動産動画

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