仲介会社は、どのツールを使ってユーザーとやり取りをするのがベストなのか?【南総合研究所】

  1. 不動産事業者向けコラム

先日、とある仲介会社の店長と話をした。その店舗は、昨年に比べて大きく反響件数が増加したとのことだ。コロナ禍でありながら、細かい反響獲得対策を実施し続けた賜物である。ちなみにこの会社の反響流入動線は、「ポータルサイト」が7割、「自社サイト」が2割、そして「SNS」からが1割とのことだ。反響が大きく増加したのだから、売上のほうも増加したことが予想される。「どれぐらい売上が増加したのですか?」と私は聞いてみた。そうすると、彼の答えは意外なものだった。「いや、売上は下がっているんです。反響は増加しても売上は下がっているなんて、皮肉なものです」

  詳しく聞くと、反響来店率(反響数に対して接客を実施した数)が大きく減少したらしい。特に、メールの返信が減少しているとのことだ。これは、一概にコロナだけの要因ではないだろう。

 実際にこうした「反響接客率」もしくは、「反響返信率」の減少は、上記の仲介会社だけではない。多くの会社が同じ状況になっているようだ。はたして、その原因はなんだろうか?

〜メールを使わない、そして既読スルーをする世代〜

 今や若い世代は、メールで友人達とほとんどコミニケーションを取ることはない。多くがLINEやSNSツールだろう。ビジネスサイドになると、チャットワーク、slackなども登場する。

 弊社のクライアントの若手スタッフにも、聞いていみたが、「プライベートでのメールを使った応対はハードルが高く、メールでの返信自体にストレスを感じる」とのことだ。

 またいっぽうで、LINE等のやり取りが多過ぎて、返信を忘れてしまい、「既読スルー」になることも増えているようだ。これは、誰しも経験があるかもしれない。特に忙しい時期に、SNSでの質問が複数件同時に来ると、見落としてしまうようになる。

 メールは、使わなくなる。SNSツールでの返信は、量が膨大になる。このような状況に仲介会社はどのように取り組むことができるだろうか?

 まずそもそもの仲介会社が使うツールをそろそろ取り替えなければいけないだろう。ちなみにメールの前は、電話が主流だった。だが、今や電話の反響は大きく減り、WEB反響が当然のことながら主流になっている。そのWEB反響のなかで、「メール」というツールから「LINEなどのSNSツール」に移行している時期が今なのかもしれない。そう考えると、メールに関しては、通常のままの対応だと、今後は返信率を増加させることが、厳しくなるだろう。仲介会社で、「メールのみ」での対応は、かなり時代に乗り遅れている状況かもしれない。

 また、それと同時に各種SNSの「既読スルー」の状況への対応も重要になってくる。

 とにかくその日のうちに返信が無くても、どんどん再送信して、プッシュしていく。勿論、ベストは、自動追客ツールなどを導入することである。

 とにかくユーザーのスマホには、様々な連絡が各アプリ、SNSツーを通してユーザーに来る。そのなかでこちらの返信が埋もれないことが重要である。

 こうした昨今のトレンドをおさえた対応を実施しても、それでも反響返信率が上がらないことも多い。それは何故だろうか?このあたりも、20代のユーザーにヒアリングしてみた。

〜物件には興味があっても、詳細がわからないので、内見まではしない〜

 SNSで最適な物件を見つけて気軽に問い合わせをしてみた。しかし、実際の家賃や広さまで、あまり頭に入っていなく、内見するほどではない。

こうしたユーザーがかなり多いようだ。各種SNSを使い、反響までのハードルを下げた施策を打つと、たしかに反響数は増大する。しかしながら、なかなか実際の成約に至る率はそこまで高くないのは、こうしたことが原因かもしれない。

 このような対策として、

  • 別で物件詳細のページを作成する
  • 反響初期対応段階で詳細な内容を伝える
  • 内見まで誘導し、現地で伝える

 が挙げられる。(おそらく最後の内見までの誘導はかなりハードルが高いだろう)

  一概に反響を増やしても、数字が上がりきらない要因はそれなりにあるのだ。

 以上のように、仲介が使うべき対応ツールは、当然時代によって変化していく。若い世代に合わせた対策を日々更新していかなければならない。

 おそらくこの記事も10年後に読むと、とても古臭く感じるかもしれない。

 それほど、時間の流れは早いのだ。


記事提供:南総合研究所


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