【インタビュー】農業の課題をビジネスに変える。「Clean Food」の誕生秘話に迫る

  1. キーマンインタビュー

◆CLEAN FOOD/Clean Smoothie(クリーンフード/クリーンスムージー)について

株式会社LIFULLは、2019年4月に新規事業として規格外の野菜や果物、余剰野菜を使った福利厚生のスムージーサービス「Clean Smoothie」を開始し、その翌年の2020年12月4日にはサブスクリプション型の冷凍スムージー宅配サービス「CLEAN FOOD」を販売開始しました。形の悪さや納期遅れを理由に、出荷できず廃棄せざるを得なかった野菜や果物をスムージーにして法人・個人向けに販売しているサービスです。

現在は石井食品株式会社さんに事業売却をし、「Clean Food」として生まれ変わりました。新卒2年目の時に自らが提案した「CleanSmoothie」の事業化承認を得て事業責任者になった原田奈実さんにインタビューをさせて頂きました。

“社会課題解決をビジネスで行う方法”を模索し続け、社内新規事業コンテストSWITCHに挑戦し続ける原田さんにお話を伺いたいと思います。

原田さん、本日はよろしくお願いいたします。 まずは原田さんの簡単なご経歴を教えてください。

2017年に新卒で入社し、「LIFULL HOME’S」の新築戸建・売買マーケットの不動産会社向け広告営業に携わっております。営業の傍ら、新規事業提案制度「SWITCH」にて新規事業の提案に挑戦し、2年連続で入賞いたしました。新卒2年目の時に私が提案した「CleanSmoothie」の事業化承認を得て事業責任者になりました。 “食”を通し東北を応援するNPO法人「きっかけ食堂」の代表も務めております。

―ありがとうございます。 “社会課題解決”について当時はどのように考えていましたか。

「社会課題」を解決したい!」という想いが高まったきっかけがございましたら教えてください。

大きく分けて二つの出来事がございます。一つ目は私の実家で、祖父母が農業に携わっていたということです。もう一つが大学生時代に東日本大震災の被災地支援として東北にボランティアで通っていた時期があり、そこでの生産者さんとの出会いです。

一つ目からお話すると、祖父母がお米や野菜を作っており、幼少期から家族で収穫や出荷のお手伝いをしておりました。出荷をする際、一定の形に切り揃えて出荷をしなければいけないという基準があって、野菜を切り揃えたり、基準に満たないものを選別していく作業をしていたのですが、基準に満たない廃棄野菜の多さにびっくりしました。出荷できない野菜は近所に配ったり自分たちで消費するんですが、味も変わらず美味しいんですね。

出荷できないものはもちろんお金にならないので、気候の影響で小さいものしか実らなかった年もあり、祖母が悲しんでいる姿を幼少期から目の当たりにしました。実際に規模を縮小したり、農家を辞めていく周りの人々を見て“農業は大変なんだな”と痛感した記憶があります。

もう一つが東北のお話なのですが、震災があって課題が表面化したと言われていますが、元々田舎の地域で生産者さんがたくさんいらっしゃる中、震災が起きる前から人口の減少や、後継者問題が深刻だという事をボランティアとして通い、いろんな方とお話をする中で気付きました。また福島の農家さんは検査で安全な数値が出ていたとしても、風評被害で全く売れなくなったとお話を聞きました。やはり消費者さんの安心をなかなか担保できないということで自分達で野菜を売るようになったのですね。今まではスーパー等に卸すだけだったのを、自ら足を運んでお客さんに“自分達で売る”ということをし始めると、しっかり信頼関係ができて、野菜がどんどん売れるようになったとお話をされてらっしゃいました。

そこで私が衝撃的だったのが、「震災があって野菜を売れなくなったことは俺たちが悪かったんだ」とお話をされたんですね。私からすると「震災が東北であったことは偶然そこで起こっただけだったから農家さん自体は何も悪くない!」と思っていたんですけど、「今までは消費者の方達に信頼関係を作ることをしてこなかった。今までの既存の農業の仕組みに則ってやってしまっていた、これからは新しい農業の形を模索してやっていきたい!」というお話をされていて、感銘を受けました。

その生産者さん達と一緒に“新たな農業の形を私も作っていきたい!”と強く感じましたね!

―最近乳牛が流されているニュースを拝見しました、やはり農家さんが自分達で売る力を持たないと何かあった際に流通が減っていってしまいますね。NPO法人のきっかけ食堂も2020年に法人化されていて、東北の食材を使ったお料理やお酒を提供する活動をされているんですが、やはり東北の復興支援に尽力したい!という想いが強いですか?

そうですね。東北は震災後、高校2年生の時に初めて訪れたんですけれど、東北の方々が大変なことがたくさんあった中で前を向いて頑張ってらっしゃる姿を見て、私もその人達の為に何かできるような人間になりたいなと強く感じました。「若い人に期待しているよ!頑張ってね!」と東北の方々から言葉を頂いて、「期待に応えたいな」と心に残り、気づけば東北に行く生活が始まっていましたね。そんな中、東北の生産者さん達の課題と自分の地元の課題は一緒なのかも!と気がつきました。

―高校2年生の時から、高い熱量を持ち続けているのはすごいですね!

東北に行くまで、ちょっとずれていたというか、高校も全然行けなくて、熱量もなくただの高校生だったんですね。中学・高校と人間関係がうまくいかない時期もあって悩んでいました。しっかりしなきゃと思っている中、東北の震災で“絆”という言葉をテレビで見てその言葉に引っかかっていたんです。

“絆”ってほんとうにあるのかなあと。そこから興味を持ち始め、各高校で復興支援に行かせていただいた経験が大きかったです。東北の人々に魅了され、励まされて、「私はすごく小さいことで悩んでいたな。頑張らなきゃ!」と思えました。

―熱量の源はどこからきているのかと非常に興味があったのでお話してくださってありがとうございます。現在未来の食糧危機にむけた“コオロギ食”が話題になっていますが、一方で国内の生乳を廃棄させられているような「食品ロス」が社会問題になっていると思います。

原田さんは現在の「食品ロス」問題をどう思いますか。

消費者と生産者の距離が遠くなりすぎていることが課題だと感じております。そもそも流通的に規格外の商品も流出しようという動きもあるんですけども、直接農家さんの畑に行ってみると「形が悪いものとかできてしまうって普通だよね」といった考え方があり、こんなに思いを持って大切に育てているのにそういう部分が全く見えていない、誰が作ったものなのかわからない、どんな背景があるのかわからないということを痛感しました。この距離の遠さを解決することで理解や制度が変わるといったところへ繋がっていくのかなと思い、私も貢献していきたいなと感じております。

―ではClean Foodを事業として実際に推進していく上で、大変だったことや嬉しかったことを教えてください。

一つの事業を一人で立ち上げ、物を作るところから売るところまでを一人でやらなきゃいけない部分が時間がいくらあっても足りず大変でしたね。商品を作りながら営業活動をしていく、両立させる難しさを通感しました。

嬉しかったところは、農家さんが出来上がった商品を見て喜んでくださったり、スムージーを提供した会社さんで実際飲んでくださった方が美味しい!と喜んでくれたことが嬉しかったです。

―事業開発に求められるスキルや必要な力は原田さんから見てなんだと思いますか?

一番は情熱だと思います。本当に大変なことがたくさんある中で、心がくじけそうになる出来事が絶対あるんですね。その時に“原点に立ち返って情熱を持ち続けられるか”が最も大事かなと思います。スキルももちろん大事なのですが、情熱があれば最後まで頑張ることができるのですごく大切だと思います。

―情熱が自分を動かす原動力になるといった感じですかね!では今後、事業開発をしてみたいという方に何かメッセージがありましたらお聞きしたいです。

一つは“原点を忘れずに持ち続ける”ということです。

二つ目は関係者の顔を思い浮かべることです。私の場合ですと農家さんなのですが、“誰のどんな課題を解決したいのか”をその人の顔を思い浮かべると、「どうするべきか」といった意欲や「頑張らなきゃ!」とモチベーションの維持に繋がります!

―ありがとうございます!最後になりますが、原田さんのビジョンである「社会課題解決をビジネスで行う方法」をClean Foodとして形にした今、次の展望や夢はございますか。

一番はClean Foodを事業として伸ばすことが一つですね。

規格外の生産物がたくさんあって、供給はあるけれども、出荷先が追いついていないという課題があります。共感してくださる方がもっと増えていかないと課題解決が加速していかないので規格外のお野菜等を提供できる“場”を増やしていけたらなと思います。

あともう一つが農業の課題解決等その地域の課題は規格外の問題を解決するだけでは全ては解決せず、たくさんの壁がある中でどれから手をつけていこうというのは自分の中でまだ決められてはないんですけども、他の課題に関してもしっかりと着手していきたいなという思いはあります!今後も新たな農業関連の課題解決にチャレンジしていきます!

―原田さんありがとうございました!廃棄ロスの削減は深刻な社会問題です。原田さんの情熱で農家さんの笑顔を増やしていく未来を想い、今後の活躍も応援していきたいです!

また、PRBASEでは原田さんのような方に多くスポットを当てていきたいと改めて思いました!

様々なサービスが誕生し便利になった時代ですが、そういう時代だからこそ…こういった情熱や想い、熱量がこれからの事業開発・社会問題の解決において一番重要だと思っています。それが顧客に伝わる時代であり、そういったストーリーでサービスを選択する時代です。また、数年後に原田さんにインタビューをしても同じ熱量で課題解決をしている原田さんが想像できます。そんな原田さんを継続的にPRBASEは追いかけていこうと思います!

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