今回は「離島の空き家」チャンネルを通じて愛媛県松山港沖の忽那諸島(くつなしょとう)の魅力を発信し、移住をサポートする移住コンサルタントの、NPO法人農音代表理事 えひめ地域移住相談員の田中佑樹さんと離島の空き家YouTubeを担当しているスズキリウイチさんにインタビューをさせていただきました。
「離島の空き家」チャンネルとは
「離島の空き家」チャンネルでは、忽那諸島の空き家情報を動画でご紹介しています。美しい自然に囲まれた島暮らしの魅力や、移住者の生の声を通じて、島暮らしに興味を持つ方々に有益な情報をお届けしてくれます。田中さんとスズキさんの本音ベースでの空き家紹介や、個性豊かな島民たちの登場、お酒を飲みながらの“アンニュイ移住よもやまトーク”がとても面白いのでぜひご覧下さい♪
「離島の空き家」チャンネルを運営するNPO法人農音では、移住者の支援と、放棄された畑の再生や柑橘栽培技術の継承に取り組んでいます。
移住を検討している方々には島の案内や移住体験を提供し、農業や漁業の体験だけでなく、島のゆったりとした時間を体験できるワークショップも定期的に開催しています。システマチックな社会に疲れた人々が地域コミュニティの中でのんびりとした島暮らしを楽しめる環境を提供しています。
プロフィール
田中佑樹さん (通称”U調査員”)
松山市出身。2011年東京から移住。 地域活性・移住促進に取り組み、 これまでに延べ100人以上の移住者を呼び込んだ移住サポートのスペシャリスト。
スズキリウイチさん(通称”リウ調査員”)
―田中さん、スズキさん、本日はよろしくお願いいたします。まず初めに「離島の空き家」チャンネルを立ち上げたきっかけはございますか?
動画撮影を始めたきっかけは、移住を希望する人たちから「家を探して欲しい」というリクエストがあったことです。空き家情報をより効果的に伝える手段として、動画が適していると感じ、撮影を始めました。最初は画面がブレたり、技術的な問題に苦労しましたが、個人のYouTubeアカウントで動画をアップロードし、移住者の家を突撃取材するなど、楽しんで始めました。この活動が後に空き家バンクの活動に発展し、「もっと真面目にやろう」と思い、正式にチャンネルを立ち上げました。
当初は別にYouTube担当者がおり、動画は限定公開で「離島の空き家」サイトにアップされていましたが、担当者が辞めたことをきっかけに公開する方針に変えたら、問い合わせを多く貰えるようになりました。
現在はウェブサイトよりYouTubeチャンネルの方が人気で、多くの方が視聴してくれています。空き家情報だけでなく、離島のPRも行い、地域貢献にもなっていると思います。
―ありがとうございます!忽那諸島の空き家をお客様に紹介する中で特に印象深いエピソードはございますか?
タイムリーな話で言えば先日、お客様に物件をご紹介し、気に入ってくれたので、近くに住んでいる家主さんと会わせたら「物件気に入りました」「どうぞ!」のわずか5分ほどのやり取りで物件の取引が成立したことです(笑)不動産取引が短時間で進むことはないので、中島(怱那諸島の中心地)ならではのスピーディなやり取りには、驚かされます。
物件だけではなく、畑の貸し借りも軽トラですれ違いざまに「〇〇さんこの畑もうやってないですか?」「ええよ!やれや!」の二言で終わることもありましたね(笑)
そして、最も印象に残ったのは、長師地区のかまどの物件を見に来た方のエピソードです。修繕にかなりの費用がかかる物件でしたが、「このままの状態で住みたい」と強く主張する方に、直感的に違和感を感じました。しかし、家主さんが最終的な決定権を持つため、我々は口を出せません。
そして家主さんの了承が出た後日、入居希望者と家主さんが連絡がつかなくなり、入居希望者が警察のお世話になっていたというケースがありました。
あの時「やばそう」と思った感覚はあながち間違ってなかったと今でも印象に残るエピソードですね!
―では面白い・または変わった物件がありましたら教えていただきたいです!
そうですね。家財が残っているようなお家を隅から隅まで見るのはすべて面白いんですが、特に印象に残っている物件をご紹介しますね。
一見普通の平屋に見えるんですが、押し入れの中に隠し階段があって、屋根裏部屋が広がっていたんです!外観は昭和後期から平成初期にリフォームされているのでモダンな印象ですが、内部は古民家風の趣が残っていました。
「隠し2階物件」
それから、先ほどご紹介した長師地区のかまどの物件もすごく面白かったんですよ。竈や五右衛門風呂はロマンがありますし、天井からはたくさんの折り鶴が吊るされていました。トイレも仮設トイレで、普段見慣れない設備がそろっているんです。
ちなみに、折り鶴が吊るされている理由は、天井の竿縁にハエが止まると黒いシミができる為、昔の人はそれを防ぐために折り鶴を吊るしたそうですよ。
あと、物件じゃないですが、怒和島の動画が本当に印象的でした。案内してくれた島民の方がとてもユニークで、笑いが絶えなかったです。是非ご覧下さい♪
―私も動画を拝見しましたが、元大工さんのお父さんのお話は勉強にもなるので是非見てほしいです!
ではYouTubeを通じての反響はどうでしょうか?英語でのコメントもお見かけしますが、海外のお客様からの反響も多いですか?
YouTubeの公開を始めてから反響は驚くほど多くいただいています。島の中でも話題になっており、地元の方々からも注目されていることが嬉しいです。「2人の会話が面白くなってきたね」といったお声がけをいただくこともありますよ!
海外からの反響も多いですね! YouTubeのコメントだけでなく、問い合わせも多く寄せられています。実際に、オーストラリアの方の家の購入手続きが進んでいます。移住はまだ先だと思いますが、地元だけでなく海外からも多くの関心が寄せられていますね。
オーストラリアの方が購入した物件動画も公開しておりますので、是非そちらもご覧いただければと思います♪
―ズバリ!「離島の空き家」チャンネルの魅力はなんでしょうか?
このチャンネルの魅力は、物件の良い点も悪い点も正直に伝えることです。
もちろん良い物件だけではないのですが、家主さんから「困っているんです」とご相談されると褒めるところがなくてもなんとか良いところを探して褒めます(笑)例えば、先程ご紹介したオーストラリアの方が購入した物件では、何の変哲もない土壁を褒めています。でも実際にあんなにボロボロになった家でも土壁ってこんなに持つんだよ!ってことを伝えたかったのです!
後もう一点は、家財や残置物などの小物にも焦点を当て、視聴者さんにリアルな情報を提供しているところです。
率直でリアルな情報提供を通じて、我々の”頑張ってる感”を視聴者さんが楽しんで見てくれたらなぁと思います。
―確かに「離島の空き家」チャンネルは“ぶっちゃけトーク”が多くリアルな情報提供が魅力ですね♪
では、忽那諸島へ移住したい!と考えている方に伝えたい、島での生活の素晴らしさは何ですか?
U調査員:前提として”魅力”というのは、人それぞれ心の内に秘められた願望に響くものなので、まずは移住希望者が何に興味や関心を抱いているのかを理解することが大切だと考えています。例えば、美しい景色を求めるなら、「中島にはこんな絶景が待っていますよ」とご紹介しますし、「美味しいみかんが作りたい」なら美味しいみかんが作れる畑をご紹介します。主観的には中島は全てが素晴らしいです!私は移住して本当に満足度が高いですね♪
リウ調査員:我々は東京から移住してきたんですが、都会の喧騒から解放され、朝の爽やかな風景を堪能することが贅沢ですね。人口密度が低く、自然に囲まれた環境が、心身共に安らぎをもたらしてくれますよ!
―都会の過密な労働環境や通勤ラッシュ、人の多さで心が疲れてしまった方は是非中島へ足を運んでみてほしいですね。では、これまでに移住者から寄せられた体験談やフィードバックがあれば教えてください。
移住サポートをした後、直接お礼を言ってもらえるだけでなく、その感謝の念を次の移住者の手助けや、島の発展のために行動してくれることがあるんですね。
“恩送り”のような感じでそういったポジティブなエネルギーが広がっていくフィードバックの形がとても有難いです。
―“恩返し”ではなく“恩送り”の思いやりのバトンが繋がっていくのは素敵なことですね!
では質問をガラッと変えまして、再生数が万PVを超える動画が多く見受けられますが、人気動画に共通する要素や特徴はございますか?また、多くの再生数を取る秘訣がございましたら教えてください。
人気動画に共通する要素は、「海」ですね。”海から近い”とか”海から0秒”といったサムネイルは再生数が伸びています。”どんな家であるか?”は、再生数に繋がる重要な要素ではないみたいですね。
―なるほど、では、海が見えない空き家はどうでしょう?
海が見えない空き家でも人気が出た動画はありますよ!なぜ伸びたのかはわかりませんが、、、後「ミイラ」など意外なワードを挿入すると伸びますね(笑)
多く再生数を取る秘訣は私も教えて欲しいので、是非コメント待っています!!!
―やっぱり波の音は癒されますし、オーシャンビューは憧れますからね♪では今後の展望や新しい企画がございましたら教えていただけますか?
今後の展望としては全国の離島にある空き家をご紹介していきたいですね。”単純にもっといろんなとこ行ってみたい”という主観的な願望もあるのですが、法改正により相続登記が義務付けられ、紹介できる空き家もどんどん増えてくると思います。
どうしようもない物件に我々をぶつけてみて欲しいですね(笑)
全国の離島の空き家を取り扱う市の職員さんや所有者さんがいたら是非呼んでいただきたいです!ご連絡をお待ちしております。
YouTubeの企画として考えているのは、ミカン農家を育てるプロジェクトを考えています。中島は国内有数の柑橘産地で「ミカンの島」と呼ばれているので、移住者が『0から始めるミカン農家』として活動し、その様子を配信する企画を計画しています。
最後に、これは個人的な希望なのですが、現在中島は海外からの観光客や移住者で賑わっているので、国際交流と文化の融合による新しいものが生まれる可能性に期待しています。
それが地域の発展につながればと願っています。
―『0から始めるミカン農家』プロジェクトは是非拝見したいです!最後に、視聴者さんに向けてメッセージがあればお願いいたします。
リウ調査員:いつも動画を見てくださってる方ありがとうございます!
このチャンネルは移住にあまり興味がない方も見てくれていると思うんですけど、動画を作っている側からするとエンタメとして見てくれてるのが本当に嬉しいですし、励みになります。もっと面白くなるアドバイスがあれば是非コメントで教えてください(笑)
U調査員:1人10回ぐらい全部再生してほしいです!(笑)
質問もお待ちしているのでバンバン送ってくれると嬉しいです!重ねてありがとうございました。
ありがとうございました!
お二人の活動が”恩送り”として次の移住者や地域の発展につながり、中島の魅力を広く知らせることで新たな人々やエネルギーを呼び込み、地域活性化に貢献している素晴らしい取り組みに感銘を受けました。
今後も「離島の空き家」チャンネルを通じて多くの方々に忽那諸島の魅力が伝わっていくことを心より願っています。
今回のインタビューは「離島の空き家」チャンネルにて、お二人が実際にインタビューを受けてくださった様子が公開されています!記事内ではご紹介しきれていない部分や、お二人の“ぶっちゃけ感”を体験してほしいので是非ご覧ください♪