この数日、バズりにバズった「サウナ不動産」というサービスがある。
シンプルにサウナ付の賃貸物件、売買物件を紹介していくサービスだ。ただ、単純な物件掲載のみならず、記事にサウナ的視点を盛り込んでいるので、通常の物件サイトとは異なる独自性を打ち出している。(実のところ、このサービス、立ち上げから運営まで弊社で微力ながらも、がっつりお手伝いさせて頂いております。諸々取り上げて頂き、この場を借りて感謝申し上げます。引き続きサービス向上を目指していきます)
ここ数年、「物件の探し方」は、大きく変化してきた。ポータルサイトから物件を探すだけではなく、Instagramや Twitter、そしてTikTokなどのユーザーのSNS利用、そしてコロナから大きく浸透したオンライン紹介など、大きくユーザーの部屋探しは変化していることは、間違いない。
また、よく言われることだが、賃貸市場は、20代〜30代がメインターゲットだ。時代を経て、ターゲット層が若干、上振れることはあるにしても、このベースは変わらない。そう考えると、この世代のライフスタイルが変わると、賃貸需要も変わるということになる。デジタルネイティブな世代が賃貸市場のメインターゲットになっていることも変化の一因であるだろう。
最近のこうしたユーザーの変化に対して、不動産仲介市場も同様に変化を起こしてきた。たとえば、SNSで集客を実施する不動産会社やオンラインのみで対応する仲介会社など、その取り組み方は、この数年で劇的な変化を遂げてきているといっても過言ではない。不動産会社が公式YouTubeチャンネルを開設することなど、今や珍しくもなんともない。
しかし、どうしてもこれまでは、「不動産会社」×「SNS」という要素が非常に強かった。これはこれで、業界の大きな変化ではある。しかし、前述したようなデジタルネィティブ世代の部屋探し自体に真の意味で変革をもたらすかと言われれば、なかなか難しい部分もある。
そんななか、冗談半分なのか、本気なのか、運営している我々も疑心暗鬼ながら、「サウナ不動産」は発足した。戦略は至ってシンプルだ。「コンテンツ」×「不動産」をSNSで浸透させる、というものだ。サウナというパワーコンテンツと、ただの物件紹介というよりもコンテンツよりの記事を投稿することを武器に市場に投下した。結果的に初日で200件以上の反響を頂き、運営側がパンクしてしまうことになった。(申し訳ありません。。)
今回、単純に、サウナというコンテンツ自体の強さがこれだけバズった理由のひとつだろうが、それ以外にも、「サウナ付きの物件を探せない」というユーザーの潜在的な課題も理由のひとつであろう。
通常の賃貸サイトでもサウナ付物件は、探せなくはないが、やはりひとつのコンテンツを深掘りすることはできない。
もしかしたら、今後は、このような「コンテンツ型不動産」がたくさん誕生していく可能性があるかもしれない。究極のランチェスター戦略だ。「この分野だけは、負けない」という深掘りのコンテンツと不動産を掛け合わせることで、市場に異質なインパクトを残していく。こうした事例が増えていくと、不動産業界もまた別の面白さが生まれるだろう。そもそも不動産の面白さは、こういうところでもある。
「サッカー」と不動産、「ゲーム」と不動産、「ダイエット」と不動産など、いろいろとあるだろう。
私の同世代の経営者のかたがたは、およそ10数年前にリノベーションというジャンルや、高級賃貸というコンテンツを市場に作り出した。今後は、現代風の新たなコンテンツが生まれていくだろう。業界にいる身としては、非常に楽しみである。
記事提供:南総合研究所