新規サービスのタネは、社内にアリ【南総合研究所】

  1. 不動産事業者向けコラム

 最近は、不動産会社様と新サービスのブレストなどを実施する機会が多い。

 chatGPTなどの普及によるところも理由のひとつだろうが、各社様の話を聞いていると、何らかの危機感を持った会社様が多い印象を受ける。「このままでは、自社のサービスは伸びないのではないか」「他のサービスに自社サービスに取って替わるのではないか」こうした危機感が、新規のサービス開発検討の発端になり、検討が始まっていくようだ。

 実際に、不動産業界は、この数年で多くの新規サービスがリリースされてきた。そしてその流れは今後も続いていくだろう。

 今後、台頭していく可能性のある新規サービスとしては、

  •  空き家対策(スペース活用)
  •     データ活用をしていくデジタルマーケティングサービス(不動産査定や投資物件の選定)
  •     クラウドファンディングによる新規投資サービス
  •     外国人をターゲットにした不動産サービス

 などが考えられそうだ。

 勿論、いずれのサービスもすでにリリースされているものが多くあるが、既存以外のものもこれからどしどしと生まれていきそうな雰囲気だ。

 たとえば、空き家対策は、これから数十年の日本全体の課題のひとつであり、まだまだサービスを生み出す余地はある。

 また他のサービスも、ひととおりの新規サービスはあるように見えるものの、まだ世の中が気付いていない新規サービスが多くあるだろう。これから数年の不動産領域での新規サービスリリースが楽しみである。

 ちなみに、こうした新規サービスは、従前の不動産会社からの発信ではなく、創業間もないベンチャー企業から生み出されることが多い印象だ。

 やはり、既存の不動産会社でこうした新規サービスを生み出すのは、難しいだろうか。

 よく不動産会社様から相談を受ける例として、「これまでとは違った不動産サービスを作りたい」というかなりざっくりとした要望事例が多い。

 そうした場合、市場の分析を行い、ニーズを洗い出し、ブレストを実施していくが、どうしても上手く進まないことが多い。話が進むにつれ、どことなく「はたして自社でこれをやる意義があるのだろうか?」という不安が社内で大きくなるような印象だ。

 実際、こうしたゼロベースで作り上げる新規サービスは、現実的にかなり成功確率が低いだろう。

 では、これまで不動産会社で、上手くいってきた新規サービスは、どのようなものがあるだろうか?

 あげられる成功している共通点としては、「徹底的に自社内のリリースを洗い出し、それを活用している」という点だ。社内のこれまでの顧客にアプローチできるサービスや、仕入れルートを有効活用した新規サービスなどは、自社内のリソースを上手く活用できたパターンである。不動産会社を経営すればするほど、多くのこうしたリソースという名の宝物が増加してくることは間違いない。

  実際に有効活用できるものを紹介すると、

 ・過去の反響のあったユーザーデータ

 これまで問い合わせてきた顧客データは、どの不動産会社にも相当数あるだろう。しかしこうした顧客データを有効活用できている不動産会社はとても少ない。気がつくと、数千〜数万の顧客データが手つかずの状態のケースもかなりある。

 こうしたユーザーへのアプローチ方法を考えるのもひとつの新規サービスのきっかけになるだろう。

 ・これまでの掲載物件、広告物件のデータ

 ポータルサイトの物件掲載のための物件データ、写真や間取りなどのデータもいろいろなかたちで活用ができる。自社サイトを構築するためのデータとして利用するのもひとつだし、こうした素材を別の発信ツールに利用するのもそうだ。特に仲介業においてはこうした図面や画像などが大量に保存されている。面白い使い方を考えてみても良いかもしれない。

 ・過去の成約データ

 これまでの物件成約データを細かく分析すると、多くの「気づき」が生まれる。その気づきを基に新規サービスを考えてみてもよいだろうし、成約データの傾向を見て、その傾向からデータ分析をしてみても良いかもしれない。「成約したら終わり」ではなく、その成約の1事例も大きなビジネスのきっかけになる種のひとつだと考えていかなければならない。

 このように不動産会社には、多くの眠っている「宝」がある。

 新規サービスを考える時に、先に述べたように市場分析やニーズ把握をすることも必ず実施していかなければならないのだが、まず自社の強みやこれまで蓄積したデータの検証をすることを忘れてはならない。

 新しい事業は既存事業とのシナジー効果が高ければ高いほど成功確率も高まることは、間違いないのだ。

 たとえば賃貸仲介会社が売買仲介会社を始める際にこれまでの成約顧客にアプローチすることができれば、コスト的にも効果が高い。それと同様に、まだ市場にない新規サービスを立ち上げる際も、これまで蓄積しているデータを活用して、テストマーケティングを行うことで、高い効果が見込める。

 ひと口に「新規サービスを作る」と言っても、自社とは関係のないビジネスを立ち上げるよりも、しっかりとこれまでの「成果」を有効活用させることが、成功の近道になるのだ。不動産会社には、そのタネが多く存在している。是非、改めて社内の「リソース」を整理してみてほしい。


記事提供:南総合研究所


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