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企業ブランディングとSNS運用について
不動産会社のブランディングの相談を受けることがある。その際に、よくご要望頂くのは、「会社のSNSアカウントのフォロワーを増やしたい」、また「企業の取り組みをSNSに発信して、内外にアピールしたい」というものだ。
これは、確かにブランディングを行ううえで、非常に重要なポイントになる。しかし、実際のところ、会社アカウントなどフォロワーを増やすのは、かなり至難の技である。今回は、企業ブランディングとSNS運用について改めて考えてみたい。
当然のことではあるが、twitterなどSNSアカウントでフォロワーが多いのは、圧倒的に「個人アカウント」である。もっと厳密に言えば、「面白い個人のアカウント」のほうが圧倒的に伸びる。やはり、SNSの特性上なのだろう。ユーザーは個人的意見や見解を欲していて、それに共感したいことがSNSの本質なのだろう。
実際に、不動産業界界隈のSNSアカウントを見てみると、やはり人気があるのは、「個人アカウント」である。たとえば、不動産会社の社長、エージェントもけっして会社アカウントではなく、個人アカウントを使用している。またさらにこれが「匿名個人アカウント」になると、より影響力が生まれる。「匿名」で業界のあるある話や裏話などを共有すると、大きな反響を生み出すことができる。また面白い現場の写真なども非常に好評だ。
いっぽうで不動産会社の公式アカウントは、どうだろうか?
多いのが、Twitterなどで物件情報を発信していくパターンだ。しかし、この発信からのCV率はとても低いように感じる。また不動産会社の公式Instagramで社内動画などを発信しても、あまり成果は得られていないように感じる。Youtubeの公式動画なども、「会社」という単位での発信だと難易度が一気にあがる印象だ。
そう考えると、SNSを使って企業自体をブランディングをすることは、一見難しいような印象を受けるかもしれない。しかし、それでも上手くSNSを運用し、ブランディングに成功している企業もある。少しこのあたりを紹介してみたい。
サービスが独立していること
「法人」という母体の発信ではなく、その「法人」のなかにある「サービス」がいかに独立しているかが重要になってくる。
たとえば、リノベーションのシリーズもののサービスや、空き家活用事例などを利用したサービスなど、最先端な取り組みを上手くSNSでコンテンツ化して発信していくことが重要だ。こうしてサービスを発展させることで、企業の認知度を上げることが可能となる。
企画、発信コンテンツが独立していること
変わった物件の内見動画や高級物件の内見動画などを紹介する。こうした「企画もの」は、やはり受けが良い。
「企業のブランディング化=企業の紹介SNS」ではなく、しっかりとした企画を発案し、発信することで、結果的に企業のブランディング化に繋がっていく。こうした取り組みは、大企業も積極的に取り入れているようだ。
組織のなかの個人として発信すること
「会社」としての発信ではなく、「会社に所属する個人」として発信していく。これも非常に大きな成果をもららすことができるだろう。冒頭に述べたように、SNSはあくまで個人の活動の発信のほうが、フォロワー獲得の相関性は高い。どうしても会社単位では、なかなか顔が見えにくいのが実情だ。
その点で、企業に属する個人として発信することは、とても効果的だ。しかしそれを実行するには、やはり個人自体のキャラが際立ってなければいけない。「広報的な役割」ではない役割で個人的に発信することと、あくまで「面白い」発信をすることが必須条件だ。
しかし、そうした発信することができる人材の獲得、そして会社としてのコンプライアンスの徹底など、クリアしなければいけない課題も数多くある。
以上のように「企業のブランディングでSNSを活用したい」といっても、一筋縄ではいかないことが多い。しかし、上記のような取り組みを行うことで、突破口は見出せそうだ。是非参考にしてほしい。
記事提供:南総合研究所