コンテンツ化しやすい空室対策とは?【南総合研究所】

  1. 不動産事業者向けコラム

今年の賃貸市場の繁忙期は、コロナ禍以降では、一番活性化した年だったように感じる。勿論、この二年間が特殊すぎる外的環境だったことは、否めないが、それでも市場は少しずつ回復基調にある。

 しかし、都心部の空室もそれなりに動いたようだが、とはいえ、やはり単身者の動きはコロナ以前ほどではない印象だ。特に都心のワンルーム、1Kの需要回復は、まだ程遠い。やはり我々の生活スタイルの変化が、賃貸市場にも目に見える形で影響を与えているのだろう。

 ちなみに、なかなか申込みが獲得できない空室物件に対しては、賃貸管理会社は、当然のこととして、様々な対策を打つ。今回は、簡単にそれらの対策をカテゴライズしてみたいと思う。

空室対策におけるパターン

 まず、空室対策とは、大きく3パターンの対策に絞られる。最初に紹介するのは、条件面の対策だ。初期費用を下げたり、ペット可や楽器可に条件を変えたり、などがそうだ。設備投資の必要がなく、うまく条件面で施策を打つことができれば、良い結果を生むことができる。

 ふたつめは、共有部や建物周辺の対策だ。オートロックの工事や防犯カメラの設置などのそれなりの投資が必要な対策から、日常清掃のクオリティ向上などの細かい対策まである。

 そして、最後は、室内設備の対策だ。水回りの設備変更から、アクセントクロスの変更までこれも多岐に渡る。空室対策として頭に思い浮かぶのは、この室内設備対策だろう。

 空室対策としては、まず「コストが大きくなく、効果が早く見込まれる」ものから順番に対策を打っていくことが基本だ。この優先順位が、物件の所在地や築年数によって変わってくるから、不動産は奥が深い。

 ちなみに、これまでは、こうした空室対策は、あまり対外的には、目立ったものではなく、オーナーと管理会社が打ち合わせをして、粛々と対策をしていた。しかし、近年ではこうした空室対策自体が、「コンテンツ化」することができるようになってきた。

 もし自社ブランディングに悩んでいる場合は、改めて自社の空室対策を見直してほしい。意外とコンテンツになるものが多い。

 では、具体的にどのような空室対策が、コンテンツ化しやすいのだろうか。

空室対策のコンテンツ化

 ・室内設備のプチリフォーム

 大掛かりなリノベーションではなくても、小規模の部屋のリフォームで、物件の見映えが変わってきたりする。アクセントクロスなどがその最たる例だ。こうした空室対策を動画にする。または、写真に撮っておく。一般の人はこうした軽微なリフォーム術などの知識は少ない。

 こうしたプチリフォームをコンテンツ化して動画チャンネルなどを立ち上げると、意外と再生数が伸びることが多い。

 ・共有部の植栽剪定や除草など

 共有部の物件管理として、植栽剪定や除草などの対策も、物件管理には重要になる。あえて、こうした細かいところもコンテンツ化してみるのも面白いだろう。委託業者さんや職人さんに協力してもらってこうした作業をコンテンツ化し、独自性を打ち出すのも手だ。

 ・ターゲット変更によるリフォーム

 たとえば通常の物件をペット可物件に変更する場合、その変更の過程自体をコンテンツ化する。ペット化であれば、ドアにペット用のくぐり戸の導入、足洗い場の設置などがそうだ。

 また、楽器使用を可能にする対策では、防音シートを貼る様子や、防音室の設置をコンテンツ化しても良いだろう。

 ・モデルルーム

 空室対策として、モデルルームの設置なども効果的だ。こうしたモデルルームの設置自体を、見える化しても面白いかもしれない。家具も何もない空室を、お洒落なモデルルームに変えるのは、それなりにセンスが必要だ。無機質な空室が華やかに変わっていく様子をコンテンツ化するのも、とても有効だ。

 ・リノベーション

 言わずもがなかだが、リノベーションのビフォーアフターのコンテンツは、とても人気が高い。もし積極的にリノベーションを実施している会社があれば、是非積極的に発信してみてほしい。

 このように普段から管理会社が実施している物件対策を外に向けて発信することで、大きなブランディング効果を生み出すことができる。

 WEBページを作るよりも、YouTube、Instagramなどの視覚効果の高いSNSで発信することが、より効果的だろう。不動産賃貸業は、知らない人から見ると、意外とコンテンツの宝庫だったりするのだ。また、普段の当たり前の業務がこうして陽の目を見るのは、スタッフにとっても、とてもやりがいが生まれる。

 改めて違った視点で、自社の空室対策を見直してみてほしい。そしてそれを外に発信することで、大きな変化を生み出す一歩になり得るかもしれない。


記事提供:南総合研究所


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