不動産会社が見落としがちな「ユーザーアピールが強い賃貸物件」の特徴とは?【南総合研究所】

  1. 不動産事業者向けコラム

 賃貸仲介業務で内見をしていると、ごくたまに驚くべき出会いがある。通常、内見前にはユーザーも仲介会社も、室内写真、外観写真を確認し、立地を確認し、内見に向かう。この時点で、不動産会社の社員には、内見に向かう物件の「イメージ」みたいなものが出来上がっている。広さや設備だけではない、なんとなくの雰囲気みたいなものだ。

 しかし、ごくたまにだが、物件に入った瞬間に全くイメージと異なることがある。思いのほか、眺望が抜けて開放感があるケースもあれば、思いのほか、デザイン性が高く、とてもお洒落だったりするケースなどがそうだ。また予想以上に収納が大きかったり、梁がなく、部屋が広く感じたりすることもそうだ。

 いっぽうで残念ながら、逆のイメージを持ってしまう物件もある。エントランスの清掃が行き届いていなく、暗いイメージの物件。また致し方ないかもしれないが、原状復帰前で居室が不潔に感じられたりする物件などがそうだ。

 私自身もかなり前に、良い意味で驚くべき物件と出会ったことがある。その物件は図面上は、なんの特徴もない都心のワンルームの物件だった。しかし、実際に内見に向かい、部屋の中に入ると、印象が一変した。ちょうどその物件の隣が都心の大学の雑木林に面しており、窓を開けるとまるで森の中にいるような感覚になるほど、窓一面が緑の物件だった。

 勿論、その物件の内見をしたユーザーは、即決しその部屋を契約した。私も含めて、ユーザーにとっても、まさに驚くべき物件との出会いの経験である。

 今日現在もポータルサイト上では多数の空室が掲載されている。よく言われることだが、不動産の部屋には同じものがひとつもない。全く同じ条件の横並びの部屋でも、その部屋から見える景色は異なる。

 しかしながら、物件を検索をしていくと、なかなかその違いは見えてこない。ポータルサイトのみならず、不動産会社のホームページでもわかりづらい部分がある。しかし実際は、検索条件から外れてしまう物件でも、特徴的なものがあり、そこに光を当てればいっきに人気物件になったりすることも稀にだが、あるのだ。

 こうした「隠れた良い条件のもの」をいくつかピックアップしてみると、

 ・窓からの眺望が特徴的

 先述に紹介した事例がまさにそうだが、窓を開けると、外の景色によって大きくイメージが良くなる物件がある。どうしても設備や立地に目が行きがちだが、こうした眺望も重要なポイントだ。

 ・収納が広く、奥行きが深い

 収納はある程度、物件写真などで確認できるが、しかし実際の目で見ると、その印象が異なる。特にファミリー物件などでたっぷりと収納スペースがある物件は、かなり人気も高い。

 ・角部屋かつ他の部屋からも独立している

 これもなかなかわかりにくいところだが、物件の構造上、角部屋でかつ独立的な部屋が存在していることがある。しっかりプライバシー空間が保てることもあり、こうした物件もかなり内見成約率が高い印象だ。

 ・天井が高い部屋

 天井の高さが2.5m以上の物件などが該当する。 リノベーションを実施し、天井を抜くと一気に開放感が生まれたりするのが、ひとつの例だ。また建築時に天井高の設定で建設されている物件などもある。こうした天井が高い物件もユーザーの印象が非常に良い。

 ・エントランスの雰囲気が良い

 けっして豪華ではなくても、しっかりと清掃をし、植栽などに気を使い、ほんの少し花などを添えているだけでいっきにユーザーの印象は上がる。居室には問題ないが、エントランスの雰囲気が悪い、という理由で申込をしないユーザーを多く見てきた。

 このように通常のポータルサイトやホームページには、あまり記載されていない内容でも意外と成約率に影響を与えるものだ。

 重要なことは、管理会社もしくは元付の不動産会社が、このような物件の長所をいかにアピールするかである。たとえば、客付機能を持たない管理会社でも、物件の長所になる特徴をしっかりと図面に記載する、そして写真等を提供するだけでも変わっていくだろう。

 また管理会社として業者間サイトに登録などする際にも、上記のような居室単体の特徴がないかを確認する仕組みが社内で構築できればより効率的にアピールできるようになるだろう。

 まれに個人的にオーナーから、「なぜこの物件の〇号室の見晴らしが良いのに決まらないのだろう」と相談されることがある。しかし、よくよく考えてみると当然のことかもしれない。募集を担当している不動産会社が気づいていない、もしくはアピールしていないことが多いのだ。しっかりと物件の特徴を認識し、それをアピールしていくと、成約率が改善する可能性も充分に高まる。

 改めて自社で管理、もしくは元付をしている物件の各居室の利点を見直してみても良いかもしれない。見落としがちなポイントをしっかりPRするだけで状況が改善することも多いのだ。


記事提供:南総合研究所


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