最近のchatgptの話題にあるように、かなりこの数年でAIの浸透は、一般化してきた。今までこうした話題に対して、対岸の火事だった人たちも、このような便利なツールを使い始めるようになった。私自身も、少し調べものなどをする時に、chat gptをよく使うようになった。驚くほど精度の高い回答をもらうこともあれば、全く的はずれの回答の時もある。ただ、いずれにしても、今後も、よりAI回答の精度は高くなっていくだろう。
また、こうしたchatgptのようなAIサービスのみならず、世の中にあるWEB情報のみでも、充分に仕事の業務内容を把握できるようになった。これは、不動産の仕事も同様である。
ちなみに、私が新人だった約20年以上前は、「仕事がわからない」という状態の前に、そもそもの不動産業務に対して、誰に聞けばよいかわからないことが多々あった。たとえば、初めて体験する業務に関して、どのように進めれば良いかわからない。たとえば新規事業や社内での新しい業務だと、先輩や上司も実際のところ、よくわかっていない。そうすると、仕事の進め方がわからなく、途方にくれることが多かった。
いっぽうで、よく社内でいろいろな業務を経験したベテラン社員は、まさに「生き字引き」のように重宝されていた。「〇〇さんなら詳しいよ」という声が、数十年前の企業では至るところで飛び交っていた。
今は、こうした「わからないこと」が、WEBの発達のおかげで、かなり軽減できているような気がする。今や多くの企業で飛び交っている言葉は、「聞く前に調べろ」だ。一旦、調べてわからない時だけ、聞いて欲しいということに、違和感を覚える人は少ないだろう。
では、不動産業務においての不明点は、WEB上で完全に解決できるようになっただろうか?
具体的な業務スキルの向上施策に対して、多くの不動産業務支援系のサイトでは、営業のスキルアップの方法やマネジメント方法などを伝えている。
また、さらに細かい業務の悲喜交々は、Twitterなどで不動産系のアカウントをフォローしていくと、良く目にすることができる。
また、マーケットに関しては、不動産業界のメディア、各種の経済メディアなどで見ることができる。
さらに言えば、YouTubeなどで、専門家の方がかなり詳しい内容を配信している。
このようにWEB上には、不動産の業務に関連するものは、世の中にかなりの情報が溢れている。こうした情報を継続的に取得していけば、新人のかたでもかなりの知識を得ることができるだろう。
ただ、こうした無料WEBサービスでは、補完できない知識も多くある。
たとえば、宅建や管理士の資格取得などは、資格取得専門のWEBサービスに登録しなければいけない。(多くが有料サービスだ)
また本質的な業務内容(契約書の雛形や細かい実務内容)なども多くは、不動産業者間の会員サイトに登録しなければ取得できない。
あくまで無料のサービスだと、「表面的な知識」をつけることができるが、「より具体的な知識やノウハウ」を取得する情報やノウハウは、クローズドのサイトか有料サイトに転がっている印象だ。
そう考えると、知識が全くない新人が現在、無料のWEBサービスだけでは、包括的に業務知識を身につけることができないのかもしれない。
しかし、不動産会社内で登録できる業者間のサービスを利用したり、有料サイトに登録すれば、かなり細かい知識も身につけることができる可能性が高い。
ちなみに、それでは、業務内容だけではなく、仕事全体のスキルはどうか?
正直なところ、いくら不動産業務を「知識」として身につけても、仕事してのスキルは向上しないだろう。不動産業界は、かなりコミニュケーション能力が必要な仕事である。特に営業になると、人脈を作り、他社やユーザーとの関係性を構築していかなければならない。このあたりは、いくら知識を付けても、実際に業務を実行するためには、現場での経験が必要になるだろう。
またキャリアを経てくると、部下を育成したりするなどのマネージメント能力も必要になってくる。こちらに関しても、やはり知識だけで対応することは、難しいところがあるだろう。
以上のように、不動産業務に関して、新人がWEBの情報のみで業務を身につけ、仕事の成果を圧倒的に出すことができるかと言えばかなり難しいのが現実だ。しかし、それなりの知識は、相当身につけることもできる。世の中に出回っている情報をしっかりと取捨選択し、取得していけば効率的に業務スキルを上げることができるだろう。
また、不動産会社の管理職として、重要なことは、新人に「どのように情報を取得させるか」だ。新人のメンバーにこうしたWEBサービスをどのように触れさせ、業務知識を身につけさせるのかを考えていかなければならない。
一昔前は、よく企業内で日経新聞の読み合わせなどを行なっていた。今にして思えば、経済ニュースに馴染みのない新人メンバーに、ニュース自体を「触れさせる」ことが、目的だったのかもしれない。
今後は、WEBの情報との付き合い方次第で、新人の成長スピードが変わっていくだろう。是非、社内でも情報との関わり方を見直してみてほしい。
記事提供:南総合研究所