本日はYouTubeのチャンネル登録者数が7万人(2021年6月時点:7.46万人)を突破した不動産内見YouTubeの不動産屋ラムエイさんにお話を伺いました!
以前PR BASEにてご紹介させていただいたのをきっかけに、listory【リストーリー】のサイグサ様からご紹介いただき、今回のインタビューが実現しました!
目次
不動産ラムエイ誕生のきっかけ
― 本日はよろしくお願いいたします!まず始めに内見動画のYouTubeを始めたきっかけを教えて下さい。
私は元々、愛媛で携帯販売の仕事をしていたのですが、プライベートで変化のあった時期に、大阪に戻ることになりました。父が営む建設会社に入社し、父が以前からやりたいと言っていた不動産事業を、私が立ち上げることになったことが始まりです。
当時、ポータルサイトに写真やパノラマ写真、動画等をたくさん載せていたので、その素材を活用したら良いのでは?と思い、YouTubeにUPする事を始めました。
YouTubeを調べてみても、ノウハウ系の動画が多くて内見動画は少なかったですね。最初に参考にさせてもらったのがアパラボさんでした。アパラボさんの動画が好調だったので、BGMと映像オンリーの動画をやってみたのですが、それでも再生数が伸びなくて…。ずっと200回再生とかで止まっていましたね。試しにゆっくりボイスを取り入れて、今現在のやり方に変えてみたら、その翌月位から急に伸び始めました。
実は、昨年の賃貸の繁忙期が過ぎた頃、YouTubeが伸びず悩んでいた時期に、もう店舗を持つしかない!と考えていました。駅近に店を構えようと内見して、申し込みもしようというところで初めての緊急事態宣言になりました。
これはもう…お店を持つのはやめとこう!YouTube頑張るしかない!と思いましたね。それまでは投稿頻度もバラバラ、動画内容もぐちゃぐちゃ、とりあえずやってみようという気持ちでやってきましたが、もうYouTubeしか道がない!と…。ホームページも頑張って自分で作りました。色んなタイミングが重なったことと、コロナ禍というところで、インターネットからの集客を意識するようになりました。
本人が面白いと思うことが大切
― 『ゆっくりボイスの不動産屋ラムエイ』の誕生ですね!?
たまたま、好きなゲーム実況動画を見ていたら、ゆっくりボイスが使われていたので取り入れてみたんです。当時、不動産系動画でゆっくりボイスを使っている人がいなかったことと、私自身、元々は内見動画に全く興味が無かったので、自分で作っていて普通の動画では面白くなくなって来ていたので…。YouTubeでも何のジャンルでも通ずると思うのですが、他の人が好調だからとその手法を真似しても伸びないと思うんですよね。
作る本人が面白いと思ってないものを世に出しても面白いと思われないから、BGMと映像だけでも伸びるんだ!と、表面的な所しか見てなかったから自分の動画は伸びないのであって、当時お手本にしていたアパラボさんの動画はもっと色んな要素が入っていたという事に気付いたのは最近になってからでした。
自分が面白いと思うもの、興味のない人が見ても面白いものを作ろうと思った事が、ゆっくりボイスを取り入れたきっかけです。
― 個性や独自性が大事だと他のYouTuberの皆さんもおっしゃっていました。真似しただけではその人の個性が動画に出てこないですよね。
人間が映っていたら、その人物の個性が出るので成り立つんですけど、普段背景になってしまう物件だけを映すだけでは、なかなか面白くならないでしょうね。
家は人生と関わり深いものだけど、物件の動画自体はそんなに目新しいものでは無いので、しっかり見てもらうためには色んな工夫が必要だと思います。
目指すべき内見動画の未来
― 確かに、物件の個性だけを求めてしまうと、どこかで行き詰まるのかもしれません。ラムエイさん自身の個性によって、内見動画の新しい形が生まれたのですね。
私は内見チャンネルという分野を流行らせたいと思っています。
ありがたい事に、今お付き合いさせていただいている企業様が何社かいらっしゃいますが、皆さん自社の媒体が欲しいとおっしゃっています。ポータルサイトへの掲載料が高すぎる!とお困りのようでした。一般のお客様がお部屋探しすると、やはりポータルサイトの検索結果が一発目に出てきますよね。
特に戸建ての業者さんはポータルサイトにものすごく掲載料を払っているので、自社のYouTubeチャンネルを持つという事にすごく注目されています。でも自社のチャンネルをなかなか成功させられないのは、YouTubeを不動産業の片手間で運営しているからです。だから私はまず、YouTubeの実績を出して行きたいと思っています。
YouTubeでバンバン家が売れる、お客さんもどんどん来る、という実績をなんとしても出していきたいのです。実績を出していけば他の企業様も真似したくなりますし、ポータルサイトよりも費用対効果は絶対に良くなると思うのです。
ー ラムエイさんによる、敷島住宅様の物件紹介の動画も拝見させていただきました。企業案件として力を入れられているのですね。
はい。お付き合いさせていただいている敷島住宅さんの方達にかなりご協力いただいています。間違いなく好調になりつつあります。敷島住宅さんのYouTubeチャンネルのファンになっていただいて、YouTube経由の反響も増えています。そこから資料請求や内見に繋がる状態にもなっているし、反響はポータルサイトを超える月もありました。そして、敷島住宅さんにはYouTube担当者の方がいらっしゃるので、色んなYouTuberさんを使って自社のYouTubeの企画を考えられています。
― 企業内にYouTube担当者がいるのはめずらしいことなのですか?
はい。他の企業にはYouTube担当の方がいないことが多いです。YouTubeの実績が伸びるかも分からないのに人員を割けないという企業が多くて、“元々の仕事プラスYouTube”という状態だから、どうしても後回しになってしまいます。
だから、敷島住宅さんだけはメキメキと、登録者数を増やしていっているのだと思います。まれに、ガッツリお金をかけてメディア専門の人たちに任せたりする大手企業さんは伸びています。でも、中堅企業、小中規模の企業になるとまだ様子見な所がありますね。もしかしたら敷島住宅さんがいいモデルケースになるかもしれません。
例えば、最初は自分達で立ち上げた企業チャンネルを、複数の内見系YouTuberの方々と一緒にお仕事しながらちゃんと育てていく。というやり方がスタンダードになっていく事もあると思います。現状、登録者や再生数が伸びている内見チャンネルは、自分のところで物件を持っていない、いわゆる仲介会社さんのチャンネルがほとんどです。私も元々仲介会社ですし、ゆっくり不動産さん、アパラボさん、リストーリーさん、内見ジョニーさんなども多分そうです。それはある程度自由が効くから自由な事ができるのであって、企業のYouTubeチャンネルは企業の大きな看板を背負っているので無茶はできないところがあると思います。
企業チャンネルは、ほとんど自社の物件動画しか出せないと思うので、私たちの様な内見動画専門で動画をバンバン上げていくチャンネルの中では、伸ばしていくのが非常に難しいと思います。
― 自社の物件だけでは動画の投稿本数もなかなか増やせないですよね。
そうなんですよ。
だから、私とお付き合いのある敷島住宅さんのような企業様には、自社の企業チャンネルの中では“企業の事を知ってもらう”動画を流していただいて、私のような内見専門チャンネルで集客をしていった方がいい。とお話ししています。例えば、社員の座談会や、取り扱っている設備の復習等…。そういった動画だけでは再生数は伸びないと思いますが、集客に関しては内見系チャンネルと協力していけばその効果を高められると思います。
例えば、あるお客様が家を建てるタイミングで、「どの不動産会社にお願いしよう?」と選ぶ状況にあるとします。もし、普段から見ている不動産企業のチャンネルがあり、その会社のつくる家にも詳しくなっていて、その会社で働く人たちがどんな雰囲気かも分かっていたら、その会社一択になりますよね?
それが、YouTubeを使っていく上でのブランディング戦略です。
内見動画YouTubeの役割
― 視聴者の取り込みや物件の集客はラムエイさんのような内見系チャンネルに任せ、自社チャンネルでは自社のブランディング戦略を行う、ということですね!
そうです。
企業様が私のYouTubeチャンネルでUPしている物件ももちろん反響は来ているのですが、お客様の流れとしてはその“物件そのものを買う”というより、“その企業で家を建てたい!”という考え方にシフトしていっています。動画を通じて会社さんを知ってもらい、この会社で建てたい!という流れになっているという状況。
だから、私の様な内見動画の位置付けとしては、その不動産会社さんの事を知ってもらう為の入り口ですね。
私のチャンネルから企業様のチャンネルを知ってもらい、企業様のチャンネル内では再生回数を狙うのではなく、会社自体を知ってもらえるようなコンテンツを上げていくのがいいと思います。おそらく、企業のチャンネルとして売上につなげるには、1万人〜2万人くらい登録者がいれば十分だと思うんですよね。
多分企業さんがどれだけお金かけたとしても、明らかに目を引くような面白い企画が思いつかない限りは、内見動画専門チャンネルに勝つのは難しいと思います。視聴回数の上がった動画が一本あれば伸びる訳では無いので、続けていかないといけないし、お金をかけるならかけ続けないといけなくなる。
それなら、私や他の内見チャンネルをうまく使っていく方がいいと思うのです。私は完全に本業としてYouTubeしかやっていないので、制作に時間をかけられますので。2020年の9月頃はお客様からの問い合わせがありすぎて、動画制作がままならなくなり、動画を休むってこともあるくらいでしたよ。
― ラムエイさんにお部屋探しのご依頼が来るという事ですか?
はい。来ていますね。
以前はホームページに問い合わせ窓口があったし、公式LINEも作り、TwitterのDMも解放していたのですが、今は一般の方と直接やり取りできないようにしています。当時は、「この部屋まだ空いていますか?」という問い合わせより、「ラムエイさんに部屋を探してほしいです!」という依頼がほとんどでした。
内見動画YouTubeが流行る前は、約半年間ほどポータルサイトを使ってました。でも、そのポータルサイトからの反響が、1ヶ月に5、6件、そして半年間で契約が決まったのはたった1件だけでした。そもそも内見に結びつけられないのです。反響から内見に結びついたのが1件だけだったので、もしもっと内見に結びついていれば、もっと契約数も増えたと思います。不動産業界の実情として、中小規模の不動産会社に、お客様が問い合わせて空室確認をしてくれたとしても、結局、大手の不動産会社や有名なフランチャイズ店に行ってしまう人って多いと思っています。
「この物件空いていると聞いたのですが、紹介・案内してくれませんか?」と…。
今やネットで調べれば色んな情報が得られますし、大手やフランチャイズ、あるいは仲介手数料が安い不動産会社へ、お客さんは流れていってしまう。こりゃ厳しいぞ、名前で負けているぞ…と思いましたね。
ー 大手不動産会社や、フランチャイズ店はCMなどで名が知られていて、一般のお客様も知っているから、流れていってしまうのですね…。
そんな中、2020年の8月頃からYouTubeがグンと伸び始め、問い合わせもバンバン来るようになり、9.10月頃には登録者数が1万人に到達し、その頃には2週間に10件位の問い合わせが来るようになりました。
その約10件の問い合わせは、ただの空室確認ではなく、公式LINEから「部屋探しをお願いしたい」とおっしゃる人たちばかりだったのです。確度の高い反響ばかりだったので、YouTubeの効果はすごいなと思いました。
これは自分で仲介をやるより、自分のチャンネルで影響力を伸ばして、他の企業さんから広告料をもらった方がいいのではないかと思い始めました。不動産会社の数はものすごく多いので、一般の方ではなく、不動産会社をお客様にしようと思い始めたのがこの頃です。
― 大手企業やフランチャイズ店のように、自身のチャンネルを有名にしていくということですね!
はい。「ラムエイの看板が欲しい」と、そんな風になったら最高ですよね。
なので、自分はYouTubeに専念して、内見動画を撮影し、編集してUPして、取引先の企業様からの広告料を収入源にするという形にシフトチェンジしようと決めました。
― ここまでのチャンネルにするには苦労もあったと思いますが、YouTubeに専念する上で、気をつけている事や大変だった事はありますか?
最初の頃は賃貸物件の動画も扱っていましたが、賃貸の場合、大変だったのは許可問題でした。管理会社に「この物件の動画を載せてもいいですか?」と聞いてOKをもらったとしても、オーナーさんの方には確認が行ってなかった場合です。管理会社が間にいるので確認が大変で…。特に、動画がバズった後に、オーナーさんからNGが出ると困りますね。
動画で物件を紹介する事がまだ一般的ではないから、セキュリティ的によくないとか、知らない人たちがいっぱい見るから怖い、消して欲しい、って気持ちもわかるのですが…。でも消したくない動画もあるので、その動画を上げた後に消してと言われると、かなり気落ちします。
それで、戸建ての売買物件にシフトしていくことにしました。売買なら、敷島住宅さんのように施工も販売もされている会社さん、いわゆる売り主さんと直接やり取りができるので。
売買物件は、CM、新聞、電車、看板など、広告の規模が賃貸とは大きく異なるので、YouTubeはそんな広告媒体の内の1つになれればいいと思っています。
相談から始まったチャンネル同士のコラボ
― トップランナーといわれるYouTuberの方達とよくコラボされていますね。普通なら自分自身のチャンネルが伸びていけばいいと思いそうなところを、みんな伸ばしていこう!という印象を受けました。新たなマーケットを作りにいくというような目標があるのですか?
私から他のチャンネルさんに連絡を取ってみました。これから伸びていきそうな勢いのあるチャンネルさん達に、相手をしてもらえるうちに絡んでみたいなと思って。
コラボすることはその時はまだ考えていなくて、相談相手が欲しかったんですよね。まだ自分自身何も分からない事ばかりだったので、一緒にYouTubeの事を話してみたかったのです。コメントが増えるとアンチのコメントも増えますし、あと許可問題の事、心配事、困り事を相談したかった気持ちが大きいです。
その頃、アパラボさんが内見系チャンネルで1位だったので、相談に乗ってもらいたくて長文DMを送ってみたら、ラムエイさんの動画見ていますよ!と返事をくれたんです。それがきっかけで連絡を取るようになり、対談動画を撮る際には直接お会いしました。
最初にコラボさせていただき、自分のチャンネルで他チャンネルを紹介したのはアパラボさんが初めてで、その時は、単純にアパラボさんにご恩があるから、コラボする事によってお礼がしたかったんです。私の視聴者さんは、ゆっくりボイスが面白いと言ってくださる方が多く、アパラボさんの視聴者さんは物件好きな人が集まっている印象でした。客層が違うと思ったので、僕のチャンネルの視聴者さんにアパラボさんを紹介できれば、少しはご恩を返せるのではないかというのが最初の思いでした。
「アパラボさんのことを紹介してもいいですか?」
「それなら、うちのチャンネルでもラムエイさんのこと扱っていいですか?」
と話が進み、思わぬコラボとなっていきました。
これってコラボやん!YouTubeっぽいな!と思っていたら、その次にみかん不動産さんからお声がかかったんです。
「うちのこの動画を使ってコメント入れしてもらってもいいですか?」との依頼でした。
なるほどそれ面白いな!僕はコメント入れるだけでいいんやな。やりたい!と思って。やってみたらご好評いただいて、更にリストーリーさんや他の業者さんからもお声かけていただき広がっていきました。なので、コラボしていたときはマーケットを広げていこうとかそんな事は全く考えておらず、たまたま、流れでそうなりました。
東京のくりひげ不動産のチャンネルでは、初めて生声を出させてもらいました。
くりひげさんは、独立したてや未経験などの、これから不動産会社を開業する人達向けの動画を作っていました。くりひげさんの生配信には未経験の不動産会社さんがたくさんいたので、もし、くりひげさんと一緒に動画でお話できたら、ここにいる皆さんが内見動画に興味を持ってくれるのでは?と思いました。その人たちに、内見動画の良さを伝えたくて、コラボを始めました。このような新しい世代の不動産会社さんにどんどん興味を持ってもらえれば、内見チャンネルが盛り上がるぞ!と。
今成長しつつあるこの事業でしっかりモデルケースとなる企業様とご一緒することで、より一層盛り上げていきたいと思っています。
― 取引のある企業様の実績を上げていくことで、内見チャンネル全体の成長に活かしていくのですね。
自分のチャンネルも伸ばさないといけないのですが、今は自分のチャンネルより、敷島住宅さんの売上をどうにかして上げていきたいという気持ちが大きいです。私に依頼してくれている企業様の為になる事をすることが重要なポイントになってくると思うんです。
正直、YouTuberというだけで終わりたくないという気持ちがありますので、YouTubeからの収益だけじゃなく、業者さん向けのサービスからの収益も上げていこうと思っています。2年後3年後に、ゆっくりボイスの動画が好調なままだという保証はないので、不動産会社として、家を売るという事にこだわって、その形を今作っている状態になりますね。
次ページ:今なお続く、不動産屋ラムエイの挑戦と今後の展開について
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