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不動産事業におけるマーケティング戦略
スマホの台頭やテクノロジーの進化によって、10年前に比べてマーケティング戦略は、大きな変化を遂げてきた。およそ10年前は、SEOが強力な効果を発揮し、多くの企業がこぞってリスティングを含めたSEO対策を打っていた。しかしながら、このような対策を打っていた企業が、いまだ生き残っているかと言えば、けっしてそうではない。残念ながらほとんどの企業が、SEOマーケティングの競争から脱落していき、数えるほどの企業しかこの戦略で生き残ることは、できなかった。
10年前の不動産業界におけるマーケティング戦略
では、不動産業界のマーケティング戦略の10年前の状況はどうだったのか?
不動産業界は、こうしたマーケティングにおいては、業界全体でも時代遅れだったと言われる。たしかに今から10年ほど前に、SEO、いわゆる「検索ワード」を主軸としたマーケティング戦略を選択した不動産会社は、ほんの僅かだった実感だ。10年前も、今と同様に、ポータルサイトの影響が強かったのである。いっぽうで自社サイトなどを強化していた不動産会社は、圧倒的に少なかった印象だ。
しかし、それでも、当時、そのランチェスターの戦略を取り、最適なSEO対策をとった不動産会社は、その後、大きく業績を伸ばした。これは、その当時の不動産業界において、誰も行っていなかった(行っていたとしても多くの企業は、残念ながら的外れだった)戦略であり、その効果はとても大きいものだった。
SNSの台頭
さて、現在の2021年である。およそ10年前と比べて、大きく変わったのが、「SNS」の台頭である。Twitter、youtube、instagram、tictokまで、今やSNSといっても様々なツールがあり、それぞれ独自の方法でのフォロワー獲得方法の知見が世の中に溜まりつつある。SNSが台頭し始めた2010年以降において、不動産業界でも、この「よくわからないがおそらく集客できるらしいもの」をうまく使いこなさそうと様々は不動産会社が、SNS運用を導入してきた。
結果は、どうだろうか?これもSEOと同様に、上手くいった会社もあれば、そうではない会社もあった。上手くいった会社の声としては、「自社のブランディング効果」が生まれたという声や、「自社サイトの問い合わせ」が増えたという声などが主である。しかし、今のところ、SNS自体での直接的な反響数が増加したという会社はあまり多くない。この事実を見落としてはいけない。
「SNSを使ってSNSから物件問い合わせ、売却などの問い合わせを多く獲得している」ことと、「SNSを使うことで、自社サイトでの反響を増加させる」ことは、大きく異なる。前者での成功は、いまだほんのひと握りの会社しか存在していなく、かつ、その歩留まり(成約率)は、あまり高くない。逆に、後者は、割と、多くの不動産会社が上手く成功しているような気がする。
企業SNSの本質
そもそも企業SNSの本質的な意味は、「企業の活動、取り組みを不特定多数に発信し、企業のブランディングを高める」というところである。現在もその本質的な存在意義は、変わっていない。しかし、SNSの利用者数が爆発的に増加することで、このあたりの本質が見落とされているようなきらいがあるのも事実だ。
最近、とある同業者のかたと雑談をしていると、こうした話題になった。「最近、不動産会社からSEOの相談が多くなってきたんですよね。なんか一周したような気がします」。
私自身も、不動産会社からの相談で、上記のような取り組みの相談が増えたように思う。少し前までは、「SNSで集客をしたい」というある意味、ぼんやりとした相談だったのが、今は明確に、「SNSを活用して、自社サイト、コンテンツに誘導したい」、もしくは、「自社サイトの反響を増やしたい」という明確な戦略を持った相談を受けることが増えたように思う。たしかに、フォロワー数を増やしても、「何を」、「どのように売るか」を考えなくてはならない。そうした時に、よりダイレクトに効果が生まれるのが、SEO対策やリスティング広告だったりする。いわば、反響数を増やすためよより、直接的な方法である。
今後のマーケティング戦略
おそらくSNSを活用しながら、問い合わせの起点となるサイトコンテンツを充実させ、SEOに寄与し、反響を増加させていく、というのが今後の大きな戦略になるだろう。当然のことながら、10年前のSEO対策では、現在では全く歯が立たない。先行企業は、星の数ほど存在してるし、より多くの企業が、この運用に対して挫折をしてきた。そうしたなかで、より直接的な問い合わせを増やすために、まず徹底的に他社との違いを明確にし、そして、その違いをしっかりとサイトコンテンツに入れていき、さらにSNSでブランディングを図る。この繰り返しをして、はじめてSEO対策、リスティング効果が見込めるだろう。
当時と比べて、状況は変わっているが、「モノの売り方」の本質は、そこまで変化していないのかもしれない。ただ、難易度は、以前より上がってはいる。10年前よりもっと精緻なしっかりとした戦略を組まなければいけない。
記事提供:南総合研究所
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