先日、とあるYouTubeチャンネルを見ていると、その出演者のかたが興味深いことをふと呟いた。「10年程前に人気YouTuberだった人たちの8割ぐらいの人たちが、もう辞めてしまっていますね」
また、とある会食でマーケティング会社の社長がこうも言っていた。「結局、我慢比べに勝てる人が集客に成功しているんですよね」
ポータルサイトであれ、自社サイトであれ、SNSであれ、不動産業での集客は、基本的に「継続性」が重要になってくる。とはいえ、当たり前の話かもしれないが、実際に集客活動を継続できている不動産会社は驚く程少ない。多くの会社が「なんとなく、やめてしまう」か「予算が尽きてやめてしまう」か「担当者が不在になってやめてしまう」かの理由で、継続することができないようだ。
ちなみに、私自身もコラム、記事を書いてもう5年になる。当初の1年は、ひたすら毎日自社メディアに記事を書き続けた。質の問題はどうあれ、この当初の1年がなければ、今の仕事の状態にはなっていないだろう。
ここ最近、様々な不動産会社様の集客のご相談を受けるうえで、この継続力が何よりも大切だと改めて思えるようになった。大袈裟に言えば、現在において、この継続力こそが最も重要ではないかと感じる。SNSであれば、コンテンツを掲載、投稿し続けると、たまに「バズる」ことがある。しかし、再度この「バズり」を経験することは難しい。「バズった」後も引き続き継続してコンテンツを出し続け、二度目の「バズり」を狙っていかなければならない。当然のことだが、そのためには継続力がなければいけない。
勿論、こうした継続力の重要性は、SNS投稿に限ったことではない。その他の集客対策においても、重要なポイントなのである。
たとえば、ポータルサイトに新規物件を掲載し続けることで、商圏エリアの「鳴る物件」を理解できるようになる。また、掲載物件の写真なども撮影し続けることで、他社よりも抜きん出た武器(コンテンツ)を持つことができる。もっと言えば、各ポータルサイトの「反響獲得のコツ、もっと言えばクセ」のようなものも理解できるようになる。このように毎日、新着物件を掲載し続けることは、ポータルサイトのなかで生き抜くためには、必要な要素なのだ。ちなみに、もし仮にこの継続性が続かなくなったら、エリアの「鳴る物件」を理解するのに時間がかかり、ポータルサイトの「癖」を見つけることができる可能性は低くなるだろう。
また、自社サイトにおいても、新規物件の更新やトピックスの更新、そしてそれに紐づくSNSの投稿などは継続すればするほどGoogleの評価は高くなり、検索に引っかかりやすい。
さらにサービスLPなども、予算の問題はあるにしろ、マーケティング施策を打ち続けることで、問い合わせ獲得の最適化を図ることができる。サービスLPを立ち上げ、なんとなく数ヶ月リスティング広告やSNS広告を打つだけではなかなか問い合わせは獲得できない。Googleなり、各種SNSには学習期間と呼べるものがあり、その学習期間を経て、はじめて広告ターゲットは、最適化することができるのである。
とある不動産集客サービスでは、月々の予算を決めて、効果検証を図りながら様々なキャンペーンを手を変え品を変え打ち続けた。これにより、サービスを立ち上げて半年程経過した頃に、多くの問い合わせが来るようになった。こうしたことは、マーケティングの基礎的な考えだが、なかなか不動産業界的には、未だに馴染みがなかったりする。
SNSに関しては、言わずもがなだ。前述したようにSNSに継続的に投稿し続けると、まれに想像以上のインプレッションを獲得することができる。問題は、その後の取り組み方法である。継続的に「バズる」ことは、かなり難易度は高い。しかし、投稿を継続し、分析して改善していくことで、多くのフォロワーを獲得する確率を上げていくことができる。
今後、不動産業界において、このような集客施策の継続性は何よりも重要になるだろう。
そのためには、まず「予算」を決め、「運用フロー」を固め、しっかりと「期間を定めて」地道に実行していくことが最初のステップである。
その最初のステップの段階で頓挫してしまうケースが後を絶たないように感じてしまう。とにかく初動でのルールを明確にして始めることを忘れてはいけない。
そして、この最初のステップの後は、細かく効果検証を実施し、修正しながら、運用を継続していかなければいけない。集客の成功失敗の分岐点は、まさにここである。
よくマーケティングのかたと話をしていると、「クライアントが、あともう少し集客施策を続けていれば、成功していたのに」というボヤきのようなものを聞くことがある。私自身も、とても共感できる内容だ。ゴールの目の前にいるのに、途中でなんとなく止めてしまった不動産会社を多く見てきた。
現在は、どこの業態でも、早期に結果を求められる時代である。しかし、こうした時代だからこそ、マーケティングの基礎である「継続性」を大事にしていけば、逆に成功する可能性は高くなる。是非、自社の集客活動を改めて見直してみてほしい。
記事提供:南総合研究所