最近は、賃貸仲介業において、なかなか仲介手数料を満額で受領できないようになっているようだ。とにかくユーザーからの交渉が多い。ユーザーのリテラシーは、年々高まっていて、多くのユーザーが複数社で初期費用の見積を取るようになっている。
このような流れが良いか悪いかはさておき、全体として、賃貸仲介会社が仲介手数料のみで収益を立てることは、かなり厳しくなっているのは、間違いない。仲介会社は、仲介手数料収入以外に広告料や「その他売上」を立てていかなければいけない。
また賃貸仲介業に加えて、賃貸管理業も営んでいる不動産会社の場合は、仲介業の収益源以外に管理業に不随する管理手数料や修繕収益なども加えられる。そう考えると、収益の安定性を目指すために、賃貸仲介会社が管理物件を獲得しようとすることは、必然の流れかもしれない。
ちなみに、先程述べた賃貸仲介業の売上のなかの「その他売上」にはどのようなものがあるか。今回は、賃貸仲介業の「その他売上」、いわゆる「付帯商品」について紹介してみたい。ちなみにこの「付帯商品」を入居者に売ることの是非もよく議論の対象になる。
あまり入居者にプラスにならないかもしれないものを売るべきでないのは、当然のことだし、残念ながら、なかにはそういったおススメできない「付帯商品」も実際には存在する。しかし、引っ越し時期のユーザーにとって、有難い商品も多く存在していることも、見逃せない事実だ。
今回は、こうした「便利な入居者サービス」を紹介したい。
・ライフラインの手配
契約中のユーザーにとって、ライフラインの手配などは、なかなか骨の折れる作業だ。しかも、あいも変わらず賃貸契約は手続きが煩雑である。そのなかで、電気会社やガス会社などの手続きが加わると、より面倒になってくる。
こうしたライフライン系の手続き代行のサービスを提供している不動産会社は、かなり多い。忙しいユーザーにとっては、便利なサービスだろう。
・インターネットの手配
上記のライフラインの手配と同様に提供するケースが多いが、インターネットの手配なども便利なサービスだ。今はマンションでwifiサービスなどを提供している物件も多いが、まだまだプロバイダーにて自宅でネットを引くケースが大半だ。既にプロバイダーに契約済みのユーザーより、はじめての引っ越しをするユーザーに適した便利なサービスである。ちなみに昔は、電気量販店で、PCを購入し、その際にまとめてネットの手配も依頼するユーザーが多かったが、最近は、PCをネットで購入するケースも多い。
物件申込時にネット手配をしてもらえるのもユーザーにとっては、ありがたいサービスだ。
・引っ越し会社の紹介
物件に申込をし、審査が通過すると、契約手続きを行う。さらにそれに加えて、当然のことながら、引っ越しの準備もしていかなければならない。実際、物件探しと引っ越し会社を探すことは、別物である。
これもなかなか面倒な作業である。安く費用をおさえたい場合は、多くの引っ越し会社から見積を取って判断するのが良いだろう。しかし、急ぎの場合やそうした時間が確保できない場合は、不動産会社から紹介される引っ越し会社を利用してみても良いかもしれない。ちなみに一概には言えないが、不動産会社と引っ越し会社との関係が密接な場合は、料金的にもかなり安く提供されているし、諸々の融通も相当効く。
・廃品回収事業者の紹介
引っ越しの際にいらなくなった家電製品や家具、本などを買取るサービスなどもある。このサービスも少しずつ増えてきているようだ。なかには、オンラインでその場で査定できるようなサービスもある。引っ越しまでに、荷物を減らしたいユーザーは、是非利用してみてほしい。
・家具、家電レンタルサービスの紹介
引っ越し時の家具、家電の購入も頭の痛い問題だ。しかし最近のユーザーは家具家電をリースするケースが増えているようだ。昔と比べて、本やCDを購入する機会も減ったし、仕事などのファッションもファストファッションで済ませる時代になっている。
単身者にとっては、無理にいろいろと家具、家電を買うよりも、レンタルで事足りるという意見も多い。入居者のライフスタイルによるが、こうした家具、家電レンタルサービスを利用してみても良いかもしれない。
他にもトランクルームの斡旋や、食料品の定期提供の紹介や、包括的な入居者サービスなどもある。
いろいろなサービスを強引にセールスするのはNGだが、様々な商材を提供し、ユーザーのライフスタイルの手助けをするのも不動産会社の役目のひとつである。
また、おそらくこうした引っ越しの節目でしっかりとユーザーとコミュニケーションが取れるのは、不動産会社の特権でもある。
是非、ユーザーに喜ばれる、その他の面白いサービスが生み出されることを期待している。
記事提供:南総合研究所